あらすじ女子高生の美和は、多摩川で出会った青年・ハルオにひと目惚れ!……だけどハルオの私生活は謎だらけだし、肉食系男子の小杉君が美和に強引に迫ってくるし、この恋模様、どうやら大荒れの予感……!多摩川を舞台に描かれる、個性豊かな登場人物たちと、そこで起きる恋のトラブル。俊英・しおやてるこ初の長編作品、待望の第1巻!
舞台は東京と神奈川の県境を跨ぐ丸子橋。広大な多摩川は気持ち良さそうで、橋の下の空気感はユルく、子供と遊ぶチャランポランな大人がいても、何となくおかしくない雰囲気がある。 そんな所で小学生と遊ぶ三十路男は、小学生の姉の女子高生と出会う。女子高生はひたすら男に恋するが、三十路男ははぐらかすばかり。 この作品、男性陣にかなりモヤっとする。大切な物に向き合わない三十路男、女子高生に迫るチャラ男、横から覗くばかりの女子高生のファンクラブ等々。それに対する女子高生の、キラキラした真っ直ぐさに胸を掴まれる。 しかし三十路男に関してはその背景が描かれ、スレた大人のこんがらがり方に共感してしまう。純粋な女子高生とその弟に安らぎ、大切にしたいと思っている男は、様々なこんがらがった物を解いて、女子高生と向き合う時は来るのか……愛らしい恋愛コメディの尊い瞬間の向こうに、疲れた三十路男の安楽がある。