あらすじ

「自前の“神”が欲しいんだ」。得体の知れない子供、伊勢崎大介(いせさき・だいすけ)は、同級生の女の子、森(もり)ユリカを教祖に仕立て上げ、一つのクラスから宗教を起こそうとする。クラスの子供達が抱えるそれぞれの悩みを巧みに利用し、その試みは次第に形をなしていく――。青山景が描く、コドモ達の宗教絵巻。描ききれなかった物語を読み解くための設定資料集、『青山景WORKS』を収録。
よいこの黙示録(1)

新任教師の湯島朝子(ゆしま・あさこ)が担任することになった4年2組。その着任初日の朝の会で、とある作文をめぐってクラスの意見が対立。騒動が過熱するなか、朝子はこの対立状況が仕組まれたものであることに気づき――!?神、仏、祈り、祝福、呪い、救済、現世利益、カルト、魔法少女、超常現象、動員ゲーム、集団心理、カリスマ、シャーマニズム、権謀術数……。舞台は小学校。30人のコドモと1人のオトナが巻き起こす、悪夢のようにカラフルな新宗教絵巻。

よいこの黙示録(2)

「自前の“神”が欲しいんだ」。得体の知れない子供、伊勢崎大介(いせさき・だいすけ)は、同級生の女の子、森(もり)ユリカを教祖に仕立て上げ、一つのクラスから宗教を起こそうとする。クラスの子供達が抱えるそれぞれの悩みを巧みに利用し、その試みは次第に形をなしていく――。青山景が描く、コドモ達の宗教絵巻。描ききれなかった物語を読み解くための設定資料集、『青山景WORKS』を収録。

よいこの黙示録

夭逝の天才・青山景の遺作

よいこの黙示録 青山景
mampuku
mampuku

 もう7年以上も前になります。32歳という若さもあり、ショッキングな事件でした。  「SWWEEET―スウィート―」「ストロボライト」「チャイナガール」を経て、イブニングで連載されていた本作。徐々に知名度を上げながら着実に階段を駆け上り、「このマン」上位進出も有望視された中での急逝……当然ながらこの「よいこの黙示録」は既刊2巻で未完となりました(厳密には、既に連載されていた分と第6話のネームおよび下絵、設定画などが第2巻としてまとめられ翌年刊行されました。)  内容に関しては、永遠に未完となってしまったことが悔やまれるほど素晴らしいもので、続きが気になる、というより結末が気になる複雑怪奇なストーリーでした。クラスを言葉巧みに操る一人の天才的少年の手によって、新任教師・湯島朝子をも巻き込んだ新興宗教「神童教」が誕生していく様子が描かれている。一人称主人公であり唯一の大人であるはずの朝子が、無意識のうちに取り込まれていくのがとても面白かったのですが、首謀者・伊勢崎少年の素性がこれから明らかになるか……といったタイミングで終了となってしまいました。  宗教という、人類社会の繁栄と密接な関係にある普遍的テーマと、小学校の教室という特殊な閉鎖環境、この奇妙な組み合わせが斬新で、緻密に練られたストーリー展開にワクワクさせられました。  2巻にはその後の展開も含めたプロットが載っていて、これがまためちゃくちゃ面白く、この内容が漫画化される日はこないという残酷な現実に絶望させられます。(プロット案によると朝子は伊勢崎によって完全に手籠めにされてしまうようです。ショタおね大好きなのでこれ是非は見たかった……!!)