あらすじ薄情だ。「神さま」を忘れるなんて――。「推し」を失った少女・ミズウミは今日も死んだアイドルに扮して、世間を欺く。拒絶と信仰の狭間で熱狂する人々。純粋すぎる少女の想いは、しだいに周囲の人間をも呑み込んでいく――。予測不能のアイドルジュブナイル、第2巻!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。※
死んだアイドルに扮して動画を拡散させる、いちファンの女子高生の物語。そこに強い想いがあるのは確かなのだが、その想いの全容は隠されているので、1巻はどこか曖昧なミステリアスさに覆われる。 主人公のやっている事は、教祖を喪った高弟の様だ。その存在感が消えてしまわないようにビジュアルに留め、鮮やかに蘇らせる。 自らの存在を引き換えにしても、アイドルを蘇生させたい主人公。盲目的な想いを乗せた眼差しに、現実は拒否され交わらない恐ろしさ。彼女をとても〈尊さ〉なんて言葉では言い表したくない。 狂信者、という言葉がしっくりくる。 そんな彼女に、心に闇を飼う男子が巻き込まれる。彼の闇は私にも共感できる程度の物だが、それが簡単に利用され、絡め取られ、いやがおうにも巻き込まれる時、主人公の想いの強さ・ヤバさが強調される。 アイドルの喪失から生まれた信仰の形……盲信、同一化、全てを捧げる姿勢など、ゾクッとするシーンが続く。誰にも歓迎されない主人公は、どこまで想いを貫けるのだろうか?想いの最果てで、虚な瞳は何を映すのだろうか。