あらすじ

新人王トーナメント三回戦。ピース音丸とひろしの試合は、ピースがパワーで押す一方的な展開となった。防戦一方のひろしは、ボクサーの魂とでもいうべき声を聞く。「闘え」…!! 自分が生きていることを確かな感覚として捉えたひろしは、反撃を開始する!!
僕 BOKU1

普通の名前の普通の僕・鈴木ひろし。ある朝、彼は普通ではないことをすることにし、いつもの通学路を変えることにした。すると、意気揚々と闊歩するひろしに、普通ではないことが起き始める。突然血相を変えた警官に呼び止められたり、同じ高校の一風変わった天王愛花にグーパンチを喰らったり…。悶々とするひろしだったが、それでも「普通なんか嫌だ」と思うのであった。

僕 BOKU2

ひろしが愛花にフラれた翌日も、鈴木家はいつもと何ひとつ変わらない朝を迎えていた。そしてひろしも、いつもと同じように家を出て、同じように駅のホームで電車を待っていた。とそのとき、ひろしの目に大きな看板の文字が飛び込んできた。今までは気にしたことはなかったが、今日はなぜか、それが運命的な出会いに感じた。その看板の文字は「ボクシング」!!

僕 BOKU3

気鋭のボクサー・野火三郎との4回戦に2ラウンド逆転KO負けし、レンはタンカに乗せられる。恋敵であることも忘れ、思わずレンに駆け寄るひろしだったが、そこには二人が思いを寄せる愛花もいた。レンが担ぎ込まれた医務室を訪ねたひろしと愛花。だが、レンは敗戦のダメージが大きく、「一人にしてくれ」と、二人に会おうとしない…。

僕 BOKU4

ひろしの通うセキネボクシングジムにふらりと現れた、謎めいた美青年・日ノ本時雄。百恵の顔面にスレスレのパンチを繰り出し、鼻血を出させた時雄に、ひろしは激怒し、ボクシングでの闘いを挑んだ。とはいえ実力の差は大きく、一方的に叩きのめされてしまう。だがひろしは、いくら打たれてもあきらめずに食らいつき、最後には時雄に「ビビッた」と言わせる…

僕 BOKU5

ひろしにとって初の試合となる、アマチュア大会が始まった。まずは時雄が、高校生ボクサーの中では無敵と言われている大道太郎を翻弄し、圧倒的な勝利を収める。そしていよいよ、ひろしがリングに上がる時がやってきた。対戦相手は太郎の双子の弟・次郎。初試合であるひろしと、高校のボクシング界ではズバ抜けた実力を誇る次郎。あまりにも力の差がありすぎる二人の対戦だが、結果は果たして……!?

僕 BOKU6

「プロテストを受けたい」と宣言したひろしだが、会長とトレーナーの谷から強く反対されてしまう。そして、プロテストを受ける条件として、現役時代はミドル級の日本ランカーだった谷とのスパーリングに勝つことを命じられた…。一方、獅子栄一は世界チャンピオン、キムタックとのタイトル戦に圧勝。新たな世界チャンピオンとなる。だが、獅子栄一への復讐を誓うレンは、ナイフを持って祝勝会場へ向かう…。

僕 BOKU7

愛花の家が火事に…! そして、愛花のおばあちゃんは、その火事で亡くなってしまった。なぜ愛花だけが、こんな悲しい目に次々と合わなければいけないのか…。ひろしは「君のために強くなる。君を守る」と誓いを新たに、愛花を抱きしめる。だが、愛花は「強くなって。いつだって、あたしは見てるから」という言葉を残し、ひろしの前から姿を消してしまった…。

僕 BOKU8

デビュー戦に勝ち、初めてのファイトマネーを手にしたひろし。お金が入った封筒を握りしめ、喜びにひたるひろしだが、そこに獅子栄一が現れ、難クセをつける。そして、怒りに我を忘れたひろしは、獅子にケガを負わせてしまう。初防衛戦に臨む獅子は、そのケガが元で得意の右が使えず、挑戦者のピエール・グノーを相手に苦戦するが…。

僕 BOKU9

ひろしのプロ第2戦目の相手は、東大の学生で、これまで2戦2勝2KOというエリートボクサー・緑川。彼はひろしのパンチを何度もくらうが、決して倒れないタフな選手だ。逆にひろしは、2R中盤に強烈な左フックを受けてアバラを痛めてしまう。迎えた3R。体力が回復した緑川は、猛攻撃に出る…

僕 BOKU10

鈴木一家が家族会議を開いている。ひろしの発言:「ボクシングをやるには、家族と暮らしていたんじゃダメなんだ!」父の発言:「お前は舞い上がっているんだ。ひとり暮らしはまだ早い」両者の意見は平行線。そして、ひろしを外に連れ出した父は、おもむろに野球のバットを取り出して…

僕 BOKU11

新人王トーナメント三回戦。ピース音丸とひろしの試合は、ピースがパワーで押す一方的な展開となった。防戦一方のひろしは、ボクサーの魂とでもいうべき声を聞く。「闘え」…!! 自分が生きていることを確かな感覚として捉えたひろしは、反撃を開始する!!

僕 BOKU12

ジムの同門対決となった、東日本新人王決勝戦。余裕の態度で挑発する時雄に、ひろしは冷たい視線を注ぐ。ゴングが鳴り、お互いに間合いをはかるひろしと時雄。ガードを下げたまま、慎重に仕掛けを待つ時雄に、ひろしのジャブが次々とヒットする。だが、ひろしがリズムに乗ろうとした直後…!?一進一退のふたりの攻防は、ボクシングを超えた死闘へと進んでゆく…!!

僕 BOKU13

東日本新人王決勝戦、第3ラウンド。序盤から全力で打ち合ってきたひろしと時雄は、リング中央で額を密着させたまま動かなくなった。だがふたりは、彼らの精神世界の中で対峙していた。時雄が自分に対して恐怖を抱いていることを感じ取ったひろしは、勝利を確信するが…!?死力の限りを尽くし、ボクシングを超えた次元で闘い続けるひろしと時雄。勝利の女神が微笑むのは、果たして…? ボクシングを通して闘うことの意味、生きることの意味にまで迫った意欲作、ここに完結。