いじめで死んだあの子を「取り戻せ」 年齢を偽りガールズバーで働く女子高生・ヒナ。彼女がお金を必要とする理由、それはいじめで死んだ親友を救えなかった「償い」であった。しかし026と名乗る男と出会った事をきっかけにヒナは「魔法少女」へと変身する。街に蔓延る「異界の徒」を倒す度に、死んでしまったユキの体の一部分が蘇る事を知ったヒナは希望を見いだすものの、同時に自分の体の一部が失われている事に気付き、絶望する―― 『不能犯』『虐殺ハッピーエンド』など数々のセンセーショナルな作品を生み出し続ける宮月新最新作。
まず、出てくる女子中高生達が、自らの性を使ってしか自己肯定感を保てていないのが辛い。原因となる歪んだ家庭環境の描写も苦しさを増す。そんな1巻通して救いの無い物語はそれでも、未知の領域へ私を連れて行ってくれそうな誘引力を持つ。 この作品には人の肉体を食する怪物が登場するが、それらは同時に性欲も満たそうとする。それに立ち向かう主人公は売春相手に薬を盛る様な人物だがたまたま魔法少女になり、体の一部を消費する事で怪物を倒す。 それは「体と引き換えに」目的を達成しようとしている点では、売春と同じ様だ……漂う絶望感。 彼女の目的は、自殺した愛する親友の再生。しかし消費した肉体分しか再生しない親友。到底目的は達成できそうも無い。ではどうする? 親友を救えなかった自責の念に苛まれる主人公。次第に迫ってゆく自殺の真相。そこにある大きな歪みの物語……そこにいる少女が、どう身体を使い、一人の死者の復活によって何を取り戻すのか。取り敢えず第1巻、打ちのめされるつもりで読んでみていただきたい。