あらすじ『砕動風鬼』――3代続く判事の家に生まれた萩原(はぎわら)。自身も裁判官として真実を追い求めるが、裁判官であるがゆえの制約に限界を感じ、辞職の決意を固める。その萩原が最後に担当することになった裁判――それは、双子の若者が共謀して行った誘拐殺人事件だった。双子だが誕生日が違い、犯行時、兄は20歳、弟は19歳――少年だったという異例の事件。弟に脅されて手を貸したと供述する兄と、殺害を認めた以外、黙秘を貫く弟。出生の差はわずか20分……。
「アストライア」とは、ギリシャ神話に登場する正義の女神。善悪をはかるために手に持った天秤が、てんびん座の元となったとされています。 裁判員制度が導入された2009年頃、(私のような)よく理解ってない人向けに啓蒙的な裁判漫画がいくつか作られていました。「サマヨイザクラ」「裁判員の女神」などがそうです。その内の一作が、この「アストライアの天秤」になります。(最近だと「イチケイのカラス」でも取り上げられていました。) 作画は中華一番!の小川悦司先生。これまで料理マンガのイメージしかなかったのでとっても意外ですが、最初見た時は劇画タッチすぎて、誰の絵か一瞬わからなかったほど気合が入っています。 緊迫した面持ちのキャラクターばかり登場する娯楽要素の少ないマンガなので、「もし自分に裁判員の通達が来たらどうすれば良いか」などと考えながらシミュレーションして読むのが良いでしょう。いつか、裁判員に選ばれる日が来るときのために…。