あらすじ

命を懸けて、届けたい音がある――。正義感の強さゆえに喧嘩に明け暮れ、たった一人の家族とも分かり合えずに、孤独を抱えていた高校生・寅雄。天才ピアニスト・治郎の導きをきっかけに、ピアノで“想いを伝え、人と繋がる”喜びに目覚め、音楽の世界へと身を投じていく! 音が、音楽が世界を変える!! 激情が胸を揺さぶる、新・クラシック音楽譚!
ラプソディ・イン・レッド 1巻

命を懸けて、届けたい音がある――。正義感の強さゆえに喧嘩に明け暮れ、たった一人の家族とも分かり合えずに、孤独を抱えていた高校生・寅雄。天才ピアニスト・治郎の導きをきっかけに、ピアノで“想いを伝え、人と繋がる”喜びに目覚め、音楽の世界へと身を投じていく! 音が、音楽が世界を変える!! 激情が胸を揺さぶる、新・クラシック音楽譚!

ラプソディ・イン・レッド 2巻

ピアノ演奏に想いをのせ、母親と心通わすことができた寅雄は、音楽の道に進むことを決意する。その剥き出しの才能が変人ピアニスト・兎山の琴線に触れ、エリート音大生・瑠音とコンペで対決することに!しかし、瑠音はとある理由で寅雄を激しく敵視していて――?不器用でも口下手でも、ピアノでなら人と繋がれる!熱情が胸を揺さぶるクラシック青春譚!

ラプソディ・イン・レッド 3巻

不器用で孤独な高校生・寅雄は、ピアノと出会い、音楽で人と繋がる喜びに目覚め、その世界へと身を投じていく。エリート音大生・瑠音と競うことで、さらに成長を遂げた寅雄。変人ピアニスト・兎山を師として『全日本ピアノコンクール』優勝という無謀な目標を追う寅雄の前に、新たなライバルの影が立ちはだかる――!青春クラシック音楽譚、新たなる舞台へ!

ラプソディ・イン・レッド

届かぬ想いを88鍵に乗せて #1巻応援

ラプソディ・イン・レッド あみだむく
兎来栄寿
兎来栄寿

先日、『最果てのセレナード』を読んだ友人が「ピアノが出てくるマンガが面白い確率は78%くらいで異常に高い」ということを言っていて、極めて同感でした。 思うに、ピアノとマンガは似ています。 ヴァイオリンを全く弾いたことがない人は多くても、幼稚園や保育園、学校などに置いてあったピアノを鳴らしてみた経験が一度もない人は少ないのではないでしょうか。また、マンガはキャラクターの落書きくらいはしたことがある人が多いでしょうし、描くまでにはいたらなくとも、全く読んだことがない人はほとんどいないでしょう。万民共通の体験として、理解・共感できるのは強いです。 そして、肝心なのはピアノもマンガも独力で表現可能な幅が極めて広いということです。オーケストラや映画などのようにたくさんの人の手でなければなし得ない形態もありますが、ソロピアノや個人制作のマンガなどはそれらにも劣らないレベルの表現が可能です。幅が広いということは、そこにあらゆる想いや感情を乗せることができるということで、物語との相性が非常に良いということです。 想いや感情、努力や研鑽の集大成に心を奪われ揺さぶられ、人生を変えられ、苦悩や葛藤を経ながら表現に向き合い、時に挫折し時に再起し、喜びも怒りも哀しみも楽しさもすべてを乗せて世に送り出し、それによってまた誰かの人生を変えて行く……そんな瞬間が切り取られて描かれるからこそ、ピアニストや漫画家を描いた作品には面白いものが自然と多くなっているのかもしれません。 ということで、この『ラプソディ・イン・レッド』もまた名作として名を連ねていくことが期待されるピアノマンガです。 とにかく、第1話を読んだ時点で今までのあみだむくさんの作品の中でも一番面白く、凄まじい熱量を感じました。血の繋がらない母親と暮らし、周囲からは問題児のレッテルを張られ、鬱屈としている主人公・寅雄。彼の心の叫びが聞こえてくる1話でした。「音」と書いて「こえ」と読ませ、自分の「音」を伝えて世界と繋がりたいと渇望する寅雄の感情の起伏が、非常に強く荒々しく描かれています。 言葉とは便利なものですが、時に言葉では伝わらない想いもあります。逆に、言葉に頼らず想いを通わせる瞬間というのは非常に美しいものです。寅雄は、自分の想いを言葉以外で伝える手段としてピアノに出逢い、そしてその願望を成して行きます。その姿には昂らずにいられません。 未経験でありながら曲を聴いただけでコピーできる桁違いのセンスと、しかも膨大な努力することに全く躊躇がない精神力を持っており、音符すらまともに読めない素人でありながら恐ろしいほどの速度で成長して行くであろうことにワクワクします。 芸術の世界といえば変人がつきものですが、濃いサブキャラたちも続々と登場して物語を盛り上げていきます。今後も非常に楽しみです。