あらすじ前に進むことを決意した聖奈は、少しずつ周りが見えるようになってきていた。そんなゆっくりと自分のペースで成長する聖奈に、菊は密かに不安を抱えていた。お互いの想いと優奈への想い、それぞれとゆっくり向き合っていく――。二人の女性が抱える恋のお話、最終巻。
誰にも言えない想い、実の姉への恋。その恋心に気づいたのは、姉に恋人ができた時。 以来絶望の中、唯一の肉親である姉と離れ、孤独に暮らす妹。彼女のあまりに深い絶望、先の見えない闇が1巻を通じて表現され、その無力感を共有させられる。 どんどん遠くなってゆく姉。それにつれて、何もできなくなる妹。絶望の縁にいる彼女に、姉の親友で、かつて妹を打ちのめした「姉の恋人」でもあった人が、妹と恋人になりたいと言い出し、世話を焼き始める。 妹と姉の親友、双方のままならない恋心。心ときめくはずの恋がどこまでも重く描かれ、その先行きの不安さに我を忘れて没入してゆく。 完全に拗れてしまっている妹の心の救いはあるのか、この切ない人と、その人に恋してしまった人の切なさから、目が離せない。