抗いようもなく恋に落ちる日が、自分にもいつか来る。そう信じてきた──南米の小国エストラニオの影の支配者といわれるシウヴァ家の総帥となって一年九ヶ月。十八歳になる蓮は、よき理解者で側近でもある鏑木の献身的な庇護のもと、多忙な日々を送っていた。けれど、シウヴァという圧倒的な権力と、その中心である存在ゆえに、蓮は同世代の友人をつくることもできず、まだ恋も知らずにいた。そんな蓮にとって、鏑木は数少ない心を許せる相手であり、鏑木と過ごした十六歳のある一夜を忘れられずにいた。この気持ちがなんであるのかはわからない、でも、鏑木には自分のそばにいてほしい──そう願う蓮と、主従としての一線を越えないよう距離を置こうとする鏑木の間には溝ができてしまう。そんなとき、ある事件が起きて!?
名門シウヴァ家の若き総帥・蓮の恋人は、幼い頃からの庇護者であり、代々シウヴァ家の忠実な側近として生きてきた鏑木だ。けれど、ふたりの関係を知ったガブリエルの脅迫によって、鏑木はシウヴァを去ることとなってしまう。その後、密かに戻って来た鏑木は、蓮を護るために水面下で活動し始める。そんなとき、蓮に名門カストロネベス家の令嬢との縁談が持ち上がる。鏑木は俺が結婚してもいいのか? そう聞きたい蓮だが、肯定されるのが怖くて口にできずにいた。好きなのに素直になれない……。嫉妬とすれ違い、さらに謎の植物ブルシャを狙うガブリエルの陰謀に二人は翻弄され……。蓮と鏑木の恋の行方は──!? 【限定配布されたショートストーリーを電子限定で巻末に収録配信!!】