あらすじ統兵衛は地獄から自由になるために、罪を狩ることのできる木刀・咎狩を振るい、地獄の首魁エマに命じられた108日での108の罪狩りを行う。しかし人助けをしたため闇を力の源とする咎狩はその力を失ってしまう。統兵衛は自らのルーツである心の闇を取り戻し、ふたたび咎狩と共に罪を狩るようになった。しかし彼の前に次に現れたのは光の如き“白い闇”……。
新装版が発売されたタイミングで手に取りました。『クロザクロ』のダークな雰囲気が印象に残っていたのですが、前作であるこの『トガリ』も悪人が悪人を狩るという、ピカレスクに振り切った内容です。 ダークなアクションで魅せる本編の魅力ももちろんながら、新装版には夏目先生の各話解説が付いていて、これも読み応えがあります。 どんなことを考えて描いていたのか、いつ連載終了が決まったのか、モチベーションは何だったのか…。週刊連載というシビアな世界の感覚が克明に記されていて、辛いことばも多々あるのですが、のめり込んで読んでしまう。 作者の言葉とともに作品を読めるというのは貴重な味わいだと思います。 他者を拒絶するだけだった統兵衛が人とのつながりを認め、少しずつ変わり始めていき、物語が加速するターニングポイントで連載終了となってしまった本作。 そこから10年の時を経て続編再開、ということ自体が『トガリ』という作品の持つパワーを証明していると思います。間違いなく「続きが読みたい」と感じられる漫画でした。 4巻読み終わった頃にはきっと続編『咎狩 白』も読みたくなるはずですよ。