あらすじ
次々と失われていくものたち。それでも僕たちは生きていく。『星明かりグラフィクス』『生き残った6人によると』の山本和音、初の作品集。ポップな絵柄とセリフ回しの妙、内に秘めたテーマ性。新しき才能、山本和音が描いてきた、ショートショートから中編までの作品群を収録。【収録作品】100ドルは安すぎる/恋と夜をかけろ/怪獣警報/太陽からの手紙夏を知らない子供たち/まどか田園へ行く/銀河鉄道の女/コーディネートレンジャー中学生はよく食べる/ナイトゲーム/雨は止んだか
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次々と失われていくものたち。それでも僕たちは生きていく。『星明かりグラフィクス』『生き残った6人によると』の山本和音、初の作品集。ポップな絵柄とセリフ回しの妙、内に秘めたテーマ性。新しき才能、山本和音が描いてきた、ショートショートから中編までの作品群を収録。【収録作品】100ドルは安すぎる/恋と夜をかけろ/怪獣警報/太陽からの手紙夏を知らない子供たち/まどか田園へ行く/銀河鉄道の女/コーディネートレンジャー中学生はよく食べる/ナイトゲーム/雨は止んだか
次々と失われていくものたち。それでも僕たちは生きていく。『星明かりグラフィクス』『生き残った6人によると』の山本和音、初の作品集。ポップな絵柄とセリフ回しの妙、内に秘めたテーマ性。新しき才能、山本和音が描いてきた、ショートショートから中編までの作品群を収録。【収録作品】100ドルは安すぎる/恋と夜をかけろ/怪獣警報/太陽からの手紙夏を知らない子供たち/まどか田園へ行く/銀河鉄道の女/コーディネートレンジャー中学生はよく食べる/ナイトゲーム/雨は止んだか
『星明かりグラフィクス 』山本和音さんの、2008年の赤マルジャンプ掲載のデビュー作から講談社で発表したもの、そしてハルタなど2020年までに描かれた11作品をまとめた短編集です。 8月に行った「最高の夏」をテーマにしたマンバ読書会では、本書にも収録された表題作の「夏を知らない子供たち」を紹介させていただきました。夏に読み返したくなる一篇です。 とりわけ私が大好きなのは、本書の最後に掲載されている「恋と夜をかけろ」です。世界全体で学問は行うと恥ずべきもの・禁止の対象とされ(ギリギリ合法扱いのかけ算の本は「成人向け」指定となっている)、代わりに恋愛が学生の本分となっている世界のお話です。不倫や多重恋愛が社会的な評価に繋がり、恋より読書や勉強が好きな主人公が父親から「お前彼女何人いる?斉藤さんや木本さんとこは10人近くいてちゃんと夜な夜な遊び歩いてるんだぞ 生物として恥ずかしくないのか?」と詰められるシーンなどは秀逸です。そして、実在の書名を連呼するシーンはとても愛しくて堪りません。 藤子・F・不二雄の不朽の名作短編である「気楽に殺ろうよ」では性欲と食欲に対する価値観が逆転した世界が描かれましたが、それを髣髴とさせます。こういうif系の短編は大好物です。 また、「雨は止んだか」などは正にハルタ系ど真ん中の絵で魅せてくるタイプの掌編で、山本和音さんの画の力を堪能できます。 「まどか、田園へ行く」もヒロインのキャラクターが愛しいしオチも好きです。 全編を通してサバサバしたキャラクターが多く、絵柄も程よい描き込み具合が絶妙で見易く、読み心地が軽快です。その上で趣向の凝らされたストーリーを美味しく味わえる、素敵な短編集です。