あらすじ豆腐を買いに行ったキヨシは、その帰り道、昨夜筆下ろしをした童貞学生を外で見送る娼婦を目撃する。その後、鰻屋に立ち寄った娼婦は、タライから飛び出た1匹のドジョウをもらって空き缶に入れる。そのドジョウを金魚鉢に入れようと友人に話していた娼婦は、友人からそのドジョウを昨日の童貞学生に例えられて大笑いを……!?そして東京大空襲で玉の井が火の海に?寺島町奇譚、感動の完結巻。
村岡栄一の「去年の雪」に滝田ゆうが登場していましたが、名前は知っているけれど読んだことがなかったので、これを機に初めて読んでみました。 読み始めは西岸良平やつげ義春みたいな漫画なのかな〜と思っていたのですが、だんだんと「ここって色街なんだ」「家族で飲み屋を営業していてカウンターに立ってるのはお姉ちゃんなんだ」「えっ戦時中なの?!」という事が分かっていくにつれて見る目が変わっていきました。 自分も主人公のキヨシみたいにぼんやりとした子供だったので感情移入して読んでいたのに、ラストで急に疎開に行くことが決まり、かと思いきや空襲で街も店も全部焼けてしまうという展開にただただ驚きました。しかも読後にこれが半自伝的作品であることを知ったので更に衝撃です。でも戦時中なのに全然ギスギスしてる描写がないしオチも明るいから、何度でも読み返したくなるなと思いました。 西岸良平やつげ義春との違いはなんだ?と聞かれたらまだはっきりと答えられないけど、何作か読み込んで考えてみたいと思いました。