あらすじ

「それから……、滑り台の近くに、これが」。そう言って敏生(としき)の差しだした物を見た瞬間、胃の捻れるような感覚が天本を襲った。それは河合の丸眼鏡だった。無惨にひびの走った薄いレンズ。まるで河合自身の身に同じことが起きたとでもいうかのように。事実、河合に同行していた早川は、重傷で倒れているところを発見されていた。だが、これは発端にすぎなかった。さらに怖ろしい出来事が天本を待ちうけていた……。
海月奇談(上)

「それから……、滑り台の近くに、これが」。そう言って敏生(としき)の差しだした物を見た瞬間、胃の捻れるような感覚が天本を襲った。それは河合の丸眼鏡だった。無惨にひびの走った薄いレンズ。まるで河合自身の身に同じことが起きたとでもいうかのように。事実、河合に同行していた早川は、重傷で倒れているところを発見されていた。だが、これは発端にすぎなかった。さらに怖ろしい出来事が天本を待ちうけていた……。

海月奇談(下)

天本の脳裏に、あの男の言葉がよみがえる。行方不明になった河合。重傷を負った早川。龍村は負傷し、誰より愛しい敏生は拐された。そしてついに式神・小一郎までもが――。これはおまえの罪。知らなかった罪。知ろうとしなかった罪。あの男はそう言った。では、すべての事件はそのために起きたのだというのか。だが、いったい誰がこんな――?天本の前にいま、驚愕の真相が現れる……。