あらすじ

スカートを着せられて育った少年・イハーブは、愛し合う女性の間から人工授精で生まれた男の子。父親役のエリーは失踪しており、母親役のマリーとの母子家庭である。男であることを「私たちの計画の最大の失敗」となじられつづけたイハーブは、ある日男根を切断し、精子バンクに登録された遺伝子上の父を求めて冒険の旅に出る……。「失われた父性」とは、「社会的性役割」とは何か。出会いと謎と刺激に満ちたビルドゥングス・ロマン。
イハーブの生活(1)

スカートを着せられて育った少年・イハーブは、愛し合う女性の間から人工授精で生まれた男の子。父親役のエリーは失踪しており、母親役のマリーとの母子家庭である。男であることを「私たちの計画の最大の失敗」となじられつづけたイハーブは、ある日男根を切断し、精子バンクに登録された遺伝子上の父を求めて冒険の旅に出る……。「失われた父性」とは、「社会的性役割」とは何か。出会いと謎と刺激に満ちたビルドゥングス・ロマン。

イハーブの生活(2)

裏庭で出会った不思議な美少女は、イハーブの父が必要とする移植用の心臓を盗みなさいと彼に要求する。精子バンクを経由してレズビアン夫婦の息子となったイハーブは、まだ見ぬ遺伝子上の父のため、命を懸ける覚悟をする。たった一つの気懸かりは、心臓の持ち主が銀行の巨大迷路型金庫を守る番人なのだということだ――。数学的なトリックに酔い、奇術的な罠(わな)にはまり、幾重にも語られる「真実」を解け。冒険は、そして加速する。

イハーブの生活(3)

罠(わな)の渦巻く銀行は爆破され、イハーブたちが最後に向かうのはネオテニー遊園地。イハーブの「父親」とは、「イハーブ自身」とは何者なのか?そして壮絶なカーチェイスから彼らが出会う事実とは、果たして彼ら自身の望む未来だったのか――巧妙に張られた伏線の数々がリンクして、物語は緊張のクライマックスに突入する!著者渾身の博学やエキゾチシズムに、叙情的な台詞(せりふ)の数々が胸を打つ、傑作シリーズ完結巻。