あらすじ「わが日本の国歌や国旗が気に入らぬなら、どこのものが良いのだ?貴様らアメ公か、露助か?」――極端な国粋主義者でありながら、その行動には不思議な爽快感を感じさせる憲兵大尉・南部十四郎。生きている必要のないバカや、日本の生き恥どもを懲らしめるため、日本にはケンペーくんがまだまだ必要なのだ!!衝撃作『ケンペーくん』のほか『猫忍コタマ』『ムツキ』シリーズなど、ならやたかし傑作選を収録。睦月影郎の筆名で、多数の官能小説を発表している著者の来歴とともにお楽しみあれ!!
オトナのストレス解消漫画といっていいのかなあ、これ。主人公・南部十四郎は、世を乱す不埒な輩をばったばったと斬り殺すというバリバリの愛国主義者。タイトルから連想される通り、その正体は第二次世界大戦時に東京憲兵隊に所属していた旧帝国陸軍の大尉で、時の首相と政界の実力者によって降霊された、世直しの使者なのであります。そりゃあ軍人さんの眼から見たら、20世紀末の日本人は万死に値する存在なのでしょう。この作品は、ケンペーくんの正義の鉄槌を襟を正してしかと見届ける漫画…などと思ったら実は大間違いなんですけどね。だって制裁を加える相手が巨悪じゃなくて小物ばかりなんですもの。うるさい暴走族や、軽薄なサーファー、後先を考えずに行動する若者に、日本語もろくに使えない適当な大学生。はてはパンクロックカーや嫌煙活動家、六本木ギャルまでもが制裁の対象になる。つまりは疲れたオジサンがイラっとくる相手ばかりなんですよね。で、これが意外とツボにハマって爽快に感じてしまうという。あ~あ、こんなんじゃ私もすっかりオジサンですなあ。