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昭和3年創業、上野駅前にある大衆食堂「衆楽苑」。メニューは和洋中華と何でもあり、地方から出てきた若者、お年寄りや子供連れなどいろいろな人が訪れる。そんな食堂で起こる客とウェイトレス、見知らぬ客同士のさまざまな人間模様、人生ドラマを人情味豊かに描いた小山田いくの連作短編集。長野県鬼無里(きなさ)より上京して働く印刷工・吉岡が休みの日、遊びの終わりに訪れるのはきまって「衆楽苑」だった。親子丼を口にしながら、日常を思い返す。仕事に慣れず胃潰瘍を患った吉岡だが、故郷には帰りたくない理由があった……。第1話「赤い爪」から第12話「黒塗りの壁」までを収めた第1巻。