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「衆楽苑」は、どの年代の客が訪れても口に合う味を守っているという。上野駅に新幹線ホームが新設され大きく姿を変えたのに対し、「衆楽苑」は昔と変わらない居心地の良さを保っている。だからこそ、人はそこに戻りたくなるのだろう。ある夏、就職活動をあきらめたアイコは、初めて出会った男女3人と5日間を遊んで過ごした。夢のように楽しかったけれど、一緒に過ごしたみんなの本名をついに尋ねることなく別れた。もしかすると最後に食事した「衆楽苑」に行けば、また会えるのかもしれない。そんな思いを胸に「衆楽苑」を訪ねるが……。大学生のひと夏の思い出を描いた「さめないうちに」から最終話「いつかまたあの店で」、特別収録作品「さんさ橋」を収めた第2巻。小山田いくのセンス溢れる佳作が並ぶ。