あらすじ

嫌な記憶なんてすべて、取り出してしまえばいい。あなたを縛るものから、逃げ出してしまえばいい。さあ、そして、記憶を取り出すことが、当たり前になった社会へ。人々は、あの頃よりも、幸せになったのだろうか――?
おもいでだま 1巻

もしも自由に記憶を取り出すことに出来る社会だったら…覚えておきたい想い出、忘れ去りたい記憶、あなたにはありますか?「メモリーセーブキャンディー」…通称「MSC」と呼ばれるキャンディーのようなメディア。お値段、一つ10万円。トラウマになった記憶を取り出したり、大事な想い出を保存できるこのサービスを取り扱うMSC社のミオの元に、今日も新しい顧客が尋ねてくる。…たとえば、高校生の時、好きだった彼女に「童貞なの?」とバカにされたトラウマに苦しめられている大学生。…たとえば、死を間近に控え、遺言をMSCにこめてドラ息子たちにいじわるをするおじいさん。――彼らは、その果てに何を想い、何を見つめるのか?

おもいでだま(2)

ネガティブな記憶をすべて取り除いたら、人は完璧に近づくのだろうか?「メモリーセーブキャンディー」…通称「MSC」と呼ばれるキャンディーのようなメディア。お値段、一つ10万円。トラウマになった記憶を取り出したり、大事な想い出を保存できるこのサービスを取り扱うMSC社のミオの元に、今日も新しい顧客が尋ねてくる。オカマのおじいさんに、平凡な女の子の日常を覗き見させる道具として。恋人に自殺された記憶に囚われる息子を救う手段として。様々な客が訪れる中、何度も記憶を取り出してきたミオ自身にもある変化が訪れる――

おもいでだま(3)

ロープも。火薬も。ナイフも。ある種の道具は、使う者の心次第で、凶器にもなり得る。しかし、ロープも火薬もナイフも、人の生活を豊かにした。誰かの命を救うこともあっただろう。記憶を取り出すメディア…メモリー・セーブ・キャンディー。危うさを秘めるこの道具に、傷つけられた者たち…そして、救われた者たち。人間を形作るのは、意志か、欲求か、それとも記憶なのか。「想い出」を巡るドラマは、クライマックスへ向けて加速をはじめる――

おもいでだま(4)

嫌な記憶なんてすべて、取り出してしまえばいい。あなたを縛るものから、逃げ出してしまえばいい。さあ、そして、記憶を取り出すことが、当たり前になった社会へ。人々は、あの頃よりも、幸せになったのだろうか――?