ふるさとで暮らす「意味」を知る完結集! 震災から2年が経っても、聡子の恋人・北山の行方はわからなかった。だが、瓦礫の中から彼の車が発見されて―― 東京五輪や明るい話題の陰で、しだいに忘れられてゆく放射線被害。ニュースでは「復興」の文字が踊り、宝沢村には道の駅やコンビニができた。……何も改善されていないのに? 振り向けば汚染土が山積みになっているのに? 世間からの冷笑と忘却に傷つきながらも“汚染されたふるさと”で暮らすことを選んだ聡子たちは、たくさんの人々の営みを通してその「意味」を知る―― “被災地”で暮らし続けようとする人々の想いを描き出すヒューマンドラマ、完結。
東日本大震災の被災者が主人公なんだろうとなんとなく読み始めて、勝手に「震災後」から始まってると思いこんでしまったんですけど、ふと「あ、これ震災前だ」と気づいてからちょっと読む手が止まりそうになってしまいましたね。。 東京で教師になる夢を諦め、父の死をきっかけに田舎へ帰り役場に勤めている主人公。いまいちこの先もここで生きていく覚悟がないなか、同級生たちの村おこし活動に感化され、やり甲斐を見出し、やっと地元で生きることを決意したところで震災に見舞われます。 津波の被害、放射能汚染、自主避難により離れていく仲間、そして津波被害地域へ行ったまま連絡がつかない恋人。この先どうなるかがある程度は予想できるだけに読むのが正直つらいですけど、あれから10年というタイミングで改めて描かれることの意味があると思いたいですね。