あらすじあなたが生きているだけで価値がある 「あなた…明日、死んじゃうよ」 皆月皐月(みなづき・さつき)、16歳。陰キャでクラスメイトへ『死の宣告』をする以外はいたって普通の高校2年生。あだ名は『ウソ月』――――だった、これまでは。会長と瀬尾が去り、皐月への誤解も解けて一見平和が戻った学校で、皐月は小町こま子の死を予知する。それは「皐月の周りに死が多すぎる」という謎の答えに迫るものだった。陰キャJKが体を張って宿命を回避する、雲外蒼天のホラーサスペンス、完結! 最終回のその後を描いた番外編も収録!!
主人公の皐月は誰彼問わず「あなたは死にます」と声をかけるのでクラスメートからは距離を置かれている浮いた存在。なぜそんなことをしているのか?理由はシンプルで、彼女には本当に他人の死の運命が見えているのです。 彼女が誰かの死を予見する手法はユニークで、死亡現場に彼女にしか見えない死体のイメージが現れるというもの。 「未来の死体」をためつすがめつ実況見分して限られた情報から死の原因を推理し、死亡時刻が訪れるまでにあの手この手で要因を排除していくのはスリリングで読み応え抜群です。 「ウソ月」と呼ばれ、他人に信用されていない皐月がコミュニケーションを取りながら誰かの行動に介入することの大変さが読んでいると伝わってくるんですよね。 誰からも理解されないのに、それでも危険を冒して人を救うために奔走する皐月のキャラクターは熱いものがあります。 皐月の能力と行動を通して徐々にクラスメートとの関係性が変わっていくのが1巻の展開。彼女と距離を縮める者、疑いを強める者、拒絶する者…皐月の心情に少し光が差したかと思えば周囲の人間関係に潜む深い闇が垣間見えたり、グラグラしながら読み進められるのが楽しい作品だと思います。 そして重要情報を最後に補足しますが、女と女の感情が動きまくりますのでそのスジの方にもぜひ読んでいただきたい次第。サスペンス百合です。