あらすじただ人を殺傷するための能力・呪力を発症し、数奇な運命に翻弄(ほんろう)される二人の少女、二人の少年。呪力者の集う呪われた町「呪街」で何が待つ。近づく人すべてを殺傷してしまう自分の力を呪う優愛菜(ゆあな)、呪力者の町・呪街で戦いを繰り返し、呪力者にも恐れられている笠音(かさね)。知らずに近づきつつある二人の少女は、求め合う自分たちの真の願いをまだ知らない……!
「呪い」…人を殺したり傷つけたりすることに限定された超能力。そして精神力にその力は比例する。こんな特殊な能力だからこそ、この作品はドラマ性が色濃く出る結果になったのでしょう。呪力合戦に派手な演出は無し。一方、作品の核である命を奪う能力をもつ人々の心理描写はこれでもかというほど丹念。2つの話を交互に描き、補完し合ってじわじわとドラマを盛り上げているのも効果的です。この作品における呪力とは、思春期から20代にかけて発症する能力。この能力をもつ者は呪街に行かなければならない。12歳で発症してしまった優愛菜は能力を中和することのできる火詠とともに呪街に向かう、というのがひとつめの話。そしてもうひとつは呪街四天王・笠音と、彼女に預けられた真魚が、権力争いに巻き込まれるという話。能力に疑問をもつ者と、強力な能力をもつが故に安らぎを求める者。この2人のストーリーが最終的にどう交わるのかがまさに焦点です。ようやく最終巻がリリースされましたので、その衝撃のラストを心して読んでください。