『鉄腕アトム』『巨人の星』『デビルマン』など、数々のアニメーション作品のシナリオを手掛けている辻真先と『ゲッターロボ』でロボットマンガに新風を吹き込んだ石川賢が、神と悪魔の相克を描く壮大な物語に挑戦した『聖魔伝』。作画を担当した石川賢は「『デビルマン』から鳥肌の立つほどの影響を受け、ああいう作品を描いてみたい」と思いながら取り組んだという。東上大学探検部を乗せたサン・オブ・サンタ号の消失事件から15年。唯一の生存者である大間朝子から生まれた二人の姉弟、大間テレサと大間ユンクは、美しい容姿を持つ姉と対照的な醜さを持つ巨躯の弟として近隣で話題になっていた。ある日の登校中、派手な外車を乗り回す社長の息子に跳ねられた二人は、意識を失ったまま、町外れの誰もいない倉庫に運び込まれる。
イシュタル陣営にテレサを迎えよ、との命を受けた使徒・ゴブリンは、ユリー・ハツオカに姿を変え、テレサに近づく。一時は、自らの意思で魔界の扉の前に立った大間テレサだったが、“魔界に入る前にもう一度秀介の顔を”と思い直し、秀介を窮地に陥れていたゴブリンを倒してしまう。一方、その頃、神の使徒として甦ったユンクは、ミカエルの命により、時間のはざまに降りたちながら悪魔狩りを続けていた。腐った果実のように毒々しい匂いに誘われるまま、曽根京子に変身したルシフェルと出会い、かつて姉弟として暮らしていた愛しいテレサの名を思い出す。はたして神として甦ったユンクと魔の力を持つテレサの宿縁は、どのような結末を迎えるのだろうか?