あらすじ

早く出所して、その手に息子・雅雄を抱きしめることを目的に、減刑を報酬として法で裁けぬ者どもを処刑する女囚5046号、九条マリア。命を賭けて獲得した報酬は、20年あったマリアの刑期をついに残り1年としていた。しかし、さらなる任務遂行をマリアに求めるT刑務所所長は、マリアの息子・雅雄(まさお)を囮に、刑期延長を画策する。そうとは知らず雅雄を助けたい一心のマリアは、雅雄の元へ車を走らせるが……。自由かそれとも死か――胸を震わす最終巻!!
マリア ブーメランのように(1)
女囚5046号、九条マリア(くじょう・まりあ)。殺人罪で20年の刑を受け、T刑務所に服役中の身ながら、月に一度、彼女は塀の外へ出る。法で裁けぬ者を始末するヒットウーマンとなって。そして、仕事を終えると塀の中へと戻ってくる。あたかもブーメランのように。伊沢広は、K県警南町署捜査課刑事部長にして、自分の立場を利用し、犯罪の参考人及び容疑者の女性に付け入り覚醒剤等により肉体関係を持つ。そのことにより死亡した女性は10人を下らない。K県警捜査室の内偵により、ほぼ事実と認められるが、伊沢自身、これまでに総監賞を10数回受けており、確たる証拠もなしに処分することもままならない。法で裁けぬ悪を滅ぼす、荊冠(けいかん)の聖母に外出許可が下る――!!
マリア ブーメランのように(2)
麻薬不法所持及び窃盗罪で懲役3年の刑を受けた井口礼子(いぐち・れいこ)が、女囚5046号・九条マリア(くじょう・まりあ)が服役する刑務所に収監された。礼子は表向きは一流商社であるS商事で社長秘書を務めていた。しかし、S商事は裏の顔として中南米からコカインの密輸を行っており、社長の愛人でもあった礼子は自分が捨てられ、身に危険が迫っていることを察知する。コカインを持ち出して窃盗を働き、自分の身を守るため刑務所に入ったのだ。そこへ新たに3人の女囚が収監される。そこには礼子を始末する命を受けた殺し屋が紛れて込んでいた!!はたしてマリアは武器を隠し持つ殺し屋に、いかにして立ち向かうのか?
マリア ブーメランのように(3)
都内で若い女性の失踪事件が相次いで起こっていた。いずれも現場周辺で不審な白い車が目撃されており、そのナンバーから元閣僚経験者の息子で、大蔵省に勤務している篠宮澄男(しのみや・すみお)の名前が浮かび上がる。誘拐犯は篠宮に間違いないが、その動機が不明であるため、警察には手が出せないでいた。女囚5046号、九条マリア(くじょう・まりあ)に1週間の外出許可が出される。マリアはOLになりすまし、首尾よく篠宮と接触することに成功するが……。権力に守られ、ぬくぬくと肥え太ったくそブタどもに、涙に濡れた刃が振り下ろされる!!
マリア ブーメランのように(4)
3年ほど前からN県内で未成年を含む若い女性ばかりが射殺される事件が起きていた。いずれの女性もレイプ後に殺害。犯人が現職の警官で、パトロール勤務中に犯行に及んでいることをつきとめたT刑務所所長は、九条マリアに1週間の外出許可を与える。N県N市に赴いたマリアは囮捜査を開始するが、その途中、飛び出してきたトラックに跳ねられてしまう。実体のない権力機構、誤った国粋主義者、画家、教育者……異常な殺人鬼達を前にマリアの刃が煌(きらめ)く!!
マリア ブーメランのように(5)
業田厳山は、その傲慢な態度で人気のあった霊能者だったが、超能力を否定した文化人が次々に事故死する事件が相次ぎ、それを自らの呪いであると発言したためテレビなどへの出演が減り、やがて世間から忘れ去られた。しかし、その業田が小さな道場を開き、悩みを持つ人達の口コミによって除霊を行っているという。聖水と称した幻覚剤入りの飲み物を与え、患者がトランス状態時に陥っている際に財産の内容を聞き出し、その後、財産に見合った祈祷料を請求。財産を失い10人以上の自殺者が出ていることから、九条マリアに3泊4日の外出許可が与えられる。同じ頃、マリアの息子・雅雄は、マリアに会えないことから登校拒否になっていた。登校拒否になったのは悪霊のためではないか、との助言を受けた雅雄を預かる伯父は、業田の元を訪れ……。女囚5046号・九条マリア、法で裁けぬ者を処刑するため塀の外へ、そして再び塀の中へ。あたかもブーメランのように。
マリア ブーメランのように(6)
早く出所して、その手に息子・雅雄を抱きしめることを目的に、減刑を報酬として法で裁けぬ者どもを処刑する女囚5046号、九条マリア。命を賭けて獲得した報酬は、20年あったマリアの刑期をついに残り1年としていた。しかし、さらなる任務遂行をマリアに求めるT刑務所所長は、マリアの息子・雅雄(まさお)を囮に、刑期延長を画策する。そうとは知らず雅雄を助けたい一心のマリアは、雅雄の元へ車を走らせるが……。自由かそれとも死か――胸を震わす最終巻!!