老人を見れば老いに恐怖し、子供を見れば過ぎた時間を後悔する。若くもなく年寄りでもない、そんな中高年となった頃に男と女は出会った。男は仕事の帰りに、女は祝い事の帰りに。電車事故で足止めをくらった二人はお互いの内に奇妙な既視感を抱き手を取り合う。手をつなぎ触れ合ううちに、忘れかけていた情動がゆっくりと二人の中に蘇っていく。中高年の男と女に贈る、三山のぼる傑作情話。「薫ゆる秋」ほか、漫画家、原作者、アシスタントが想いを綴るラストメモリアルも同時掲載。(※三山のぼる・メモリアル未収録作品集「レクイエム」を分冊しています)