あらすじ古着屋「ホップ」の経営に行き詰まったチョクこと野々島直人(ののじま・なおと)は、店を譲ってほしいという原井原(はらいはら)の申し出に考え込むが、店を続けていこうと決意する。そんな時、出て行った居候・タカシの借金の保証人となっていたチョクの元に、街金の取り立てがやってくる。タカシとは連絡が取れず、チョクはその取り立てに苦しめられ……!?
いいところも悪いところも納得できないところも含めてこの漫画がとても好きです。 どの側面も全部大好きな人間なんていないし、何を選んでも苦しみや痛みがなくなることなんてきっとない。 会社が倒産し恋人に振られ全てを失った青年・チョクがとある出会いから古着屋を経営し、出会いやわかれを繰り返し成長していく物語。 このチョクという青年がなかなか憎めないヤツなんですね。 愚直だけど優柔不断、優しすぎるけど妙にドライなところもあるし、流されやすいし小心者。でもいいヤツすぎるくらいにいいヤツなんです。心の隙間を抱えてる人たちが、チョクに集まってくる理由はなんとなくわかる気がします。 そしてこの漫画の1番好きなところは、チョクが古着屋をやりたいわけじゃないというところ!! 「古着屋だったらできるかも」と周囲の人から服を集めたりアドバイスを受けてなんとか店を開き、様々な困難を乗り越えてもなお、チョクは別に服を好きにならないのです。ギターをはじめたり、ビールの美味しさに目覚めたり、魅力的な女性と出会ったりしながら自分のやりたいことを探していくのです。 脱サラしてお店を経営するだなんて、夢でしかない憧れでしかないと思うけれど、そりゃ悩みは尽きないよね…って現実を見せてくれます。 悩んで流されて苦しんで、そんな日々の中で自分を突き詰めていくのが人生なのかもしれません。 最終話はめちゃくちゃ駆け足すぎるし、チョクの仕事や恋愛のその後が知りたくて仕方がないけど…人生死ぬまでどうなるかわかんないもんね、と自分を納得させています。 そして大市民シリーズと同じくブレないギャル批判がすげえ。とんでもねえ。 茶髪ガングロ厚底厚化粧へのヘイトスピーチがとんでもないですけどこれは柳沢きみお先生の一貫した主張なので、もうなんとも思わなくなりました。 そういう個人的な主義主張を抜いたらとても好きな漫画です。そういう主義主張がやばいなと思える世の中になったのはよかったと思います。 時代は変わったなあ と 時代が変わっても変わらないなあ 両方を味わえる作品だと思いました。わたしは好きです。