両親を亡くし、梅農家を継いでいる茂次郎は、梅の香りで性的興奮を覚える性癖を持つ。その梅農家でバイトとして働くのりおはまっすぐな元ヤンで、茂次郎への思いも隠さず、人恋しい茂次郎はついすがりつきそうになる。そんなある日、のりおは茂次郎の家に泊まることになった。梅の匂いが強く香る夜だった――。
セックスしたことでどんどん茂次郎の事が好きになったのりおは「俺だけのものにしたい」と考えている。一方のりおの気持ちを利用し、あさましい欲望にかられてセックスしたことに罪悪感を覚える茂次郎。そんな茂次郎に手紙を持ってきた郵便配達の達二は「盛り上げ役で呼んでね」と意味深な言葉を残す――。
閉鎖的でよそ者を拒絶するくせに、一度信用すると決して疑うことをしない、間抜けなこの街と住人が嫌いだ。退屈な街で刺激を求める達二の欲求は「破壊」に向かう。セミの羽をむしり、自分の家族を壊した達二。そんな彼の最近の興味は、茂次郎とのりおの「特別な関係」―――。
自分の寂しさを埋めるためにのりおの好意を利用しているのではないかと罪悪感を覚える茂次郎。そんな茂次郎とスーパーで出くわした達二は「夜に伺います」と言い残した。そしてその夜、茂次郎の家を訪れた達二は……!?
達二と一夜を共にした茂次郎はそのことを知ったのりおに殴られる。痛みの中茂次郎はのりおに対する自分の本当の気持ちに気がつく。
「ねえ、のりおくんお仕置きして」。自らを罰してほしい茂次郎は、のりおを求める。一方のりおは達二にケリをつけに郵便局に向かった――。梅の香りに包まれた奇妙なトライアングル・ラブ完結。