令和の大型新人が鮮烈に放つ、江戸の夜陰に切なく熟れる恋の花 【本能に抗えない鬼×自己犠牲な美青年】――鬼はヒトになれるのか? 見世物小屋を抜け出し、穏やかな暮らしを手に入れたべなと壱。しかし日々のちいさな幸福が降り積もるほど、べなは自分が鬼であること、人間とは違うことを強く意識するように。そんなある日、お奈緒から駿河府中まで手紙を届ける“お使い”を頼まれる。初めての旅路に昼も夜も仲睦まじく過ごす二人だったが、壱は「べなが自分の元から去ろうとしてるのでは」と不安が募り…? 近づくほどに遠くなる。だけど、その痛みすら愛おしい―― 既刊続々重版のお江戸人外ボーイズラブ、待望の続編! 描き下ろし&解説も収録!!
悩めるふたりの行くすえを見守る感じがとても良いです。 同性愛を禁じられたものとして考えられ始めたのは文明開化のちキリスト教的考えが広まったあとと聞いたことがあるので、江戸時代を舞台とする本作はBLだけど、作品の世界的にはそういう趣向の人もいるよねという受け入れられ方なんでしょうか。 現代ものBLによくある「男同士なのに」とか「周りの目が」のような、男女の仲では描かれないオプションがなくなるので、感情の寄り道が減っている感があります。 見世物小屋や鬼の話もあるので、むしろ、それがあると話が複雑になりすぎていたかもしれません。 BLでよかった。 酔っ払いの輩の絡みに対して、「自分の体一つでこのトラブルが解決するならシンプルでしょう?」という考え方をした壱が印象的でした。 弟を守るための方法としてそう教わったんだからそう思うんですよね。自分の体を安売りしないという気持ちが、すっぽりと存在していない。