あらすじテレサと耕治の暮らしが始まった。テレサは就職先が見つからず、収入源は耕治が流しで稼ぐ金のみという貧しい暮らしだったが、それでもふたりは幸せだった。ある日、いつものように流しで歌っていた耕治とオキナワの前に、演歌の大御所・北野波平が現われる。
どんなに踏みつけられへし折られても、まっすぐに空を見上げ続けていれば、いつか花を咲かせることができる。まるで演歌のような主人公・コージの生き方に勇気づけられる人は多いと思います。私はリアルタイムで読んでいた世代なもので、当時まさにそう感じていました。この作品が連載されていた時期はちょうど私が社会に出て働きはじめたころ。田舎出身のマイノリティであるコージやオキナワに自分を重ねたりしていて、未来への不安定な感情とともに存在している思い入れ深い作品です。なので、著者の訃報を聞いて真っ先に読み返したのがこの作品でした。泥臭くて暑苦しくも、一直線に心の叫びが伝わってくる力強い作風。鼻の穴とか服のしわとかどうしてここまで描き込むのかと思える自己主張の強い墨っぽい絵柄。ひとコマひとコマにやっぱり気持ちが入ってしまいますね。こんな思いにさせてくれる作品には、これからもなかなか巡り合えないじゃないかと思います。