あらすじ

おっぱいの探求・保護活動を始めた夢人の前に現れたのは、転校生の加藤鷹士。鷹士は、母性本能をくすぐるような子どもっぽさで女の子に近付き、その実、片っ端から喰いまくるという最強のセックスマシーンだった!その鷹士が、遂に田村じゅんを狙い始めて…!?
π(パイ) 1巻

中学生の頃、πのパイとはおっぱいのことでは…!? そう思い始めた沢木は、πとおっぱいの関係性を研究し始め、完璧なおっぱい探しを開始する。やがて高校生になった彼は、それまである事情で不登校となっていて、久々に学校にやってきたクラスメート・田村じゅんと初めて出会う。沢木は、ご立派なおっぱいを持つ田村を見て、彼女こそ探し求めるπの持ち主ではないかと思い、彼女に接近しようとするのだが…

π(パイ) 2巻

美術教師の律子先生は生徒たちの憧れの的で、千聖こと宇治一郎もそのひとり。帰宅する律子をつけることにした一郎は、彼女がなぜか取り壊し予定の旧校舎に入るのを見て、自分もビビりながらその中へ。その後、律子を見失った一郎がたどり着いたのは、おっぱいのオブジェで埋め尽くされた謎の教室だった!!

π(パイ) 3巻

おっぱいの探求・保護活動を始めた夢人の前に現れたのは、転校生の加藤鷹士。鷹士は、母性本能をくすぐるような子どもっぽさで女の子に近付き、その実、片っ端から喰いまくるという最強のセックスマシーンだった!その鷹士が、遂に田村じゅんを狙い始めて…!?

π(パイ)(4)

朝からエロおやじに1万で胸を見せろと迫られ、怒りの鉄拳で追い払うじゅん。そんな男嫌いの彼女だが、夢人に対する時だけは雰囲気が違う。「超ムカツク~」と言って夢人の胸をたたく仕草など、無防備そのものなのだ。みんなは私のおっぱいしか見ないけど、夢人だけは違う…。じゅんの心の中で、次第にその想いは高まり…?

π(パイ)(5)

突如、夢人に接近してきたフェロモン系美人・東澤美華。彼女の出現で夢人への気持ちに目覚めたじゅんは、中学の先輩だった美華にテニス勝負を挑む。本気モードになった美華は、じゅんの返球をわざと自分の胸に当てさせ、夢人にお姫様だっこで保健室に連れてってとせまる。しかも、途中で女子トイレに行き先を変更させ、とうとう夢人を密室に誘い込んだ美華は…。

π(パイ)(6)

互いの正体を知らぬまま、駅前で待ち合わせをしたパイダーマン(夢人)とレディ(じゅん)。キメポーズのあと、2人は悪の手先パイショッカーからπを守るためのパトロールに出動した。その最中、パイダーマンがじゅんのことを気にかけていると知ったレディは、慌てて路地裏に駆けこみ、じゅんの姿に戻るべく着替え始めるが…。

π(パイ)(7)

青葉高校内のゴシップや裏マニュアルを集めた小冊子「裏AOBA!」に、じゅんのパンチラ写真が掲載された。それを見た夢人はさっそく発行している出版部に抗議に行くが、編集長の牛山は「表現の自由」をタテに反論し、まったく反省の色なし。あげく怒りで拳を握っても、暴力に訴える気かと言いたい放題で…。

π(パイ)(8)

夢人のクラスにやってきたかわいい転校生・後藤愛留。周囲の歓迎ムードの中、中学時代にも彼女と同級生だった夢人は「とても引け目があるんだ」と思い悩む。それは夢人がデブオタだった頃、愛留がおっぱいに本をはさむという内容の同人漫画『愛留1000%』を描いたこと。しかも、それがいじめっ子に見つかり、クラス中に配られたことが原因なのだが…。

π(パイ)(9)

π=それは神秘的なおっぱい!完璧な美の構図を持つπの研究に没頭する高校生・沢木夢人が、究極のおっぱいを探し求めて今日も行く!!

π(パイ)

古屋兎丸の心意気が遺憾なく発揮されているのが・・・

π(パイ) 古屋兎丸
影絵が趣味
影絵が趣味

月刊ガロのスーパースター(たしか福満しげゆきがそう言っていた)こと、古屋兎丸といえば、まず何といっても『π(パイ)』ですね。 月刊ガロといえば、常軌を逸した漫画家が大勢集まっており、エロ・グロ・ナンセンス・アバンギャルド等の作風で一世を風靡しましたが、古屋兎丸ももれなくこういった作風でガロからデビューしています。そして、まあ、私どもを含めた少々自意識を拗らせた人々がガロ系の漫画を読み漁ることとなったわけですが、こういったいわゆる大道からみれば外れ値にあたる作品というのは、一時こそはセンセーショナルに思われるのですが、その後が続かないということもまた多い。じつに沢山の漫画を読んできましたが、記憶にいつまでも残っているのはごく一部で、ほとんどの作品はタイトルすらも忘れてしまっています、まあ、これはガロ系に限ったはなしではありませんが。 で、こと古屋兎丸についていえば、いつまでも記憶に残っている。彼はガロ系作家の御多分に漏れず、常軌を逸した漫画家のひとりだと思うのですが、たとえば、同じく記憶に残り続けているねこぢるとは常軌の逸し方が違うような気がする。ねこぢるは純粋に外れ値の彼方にいるような漫画家でした。だけども、古屋兎丸の常軌の逸し方というのは、道を大きく踏み外す類いのものではなく、むしろ、あるひとつの習慣を偏狂的に続けるひとのそれであるような気がします。常軌を逸して几帳面なんですね。 それをまさしく体現しているのが『π(パイ)』ということになるでしょうか。ジャンル的にはオッパイのはなしなので、まあ、エロにナンセンスを掛け合わせたようなものになるとは思いますが、どうもそれだけではないような、エロとナンセンスをテーマとして掲げておきながら、それらを縦に貫いている偏狂的な習慣の持続がみられるのです。 主人公の沢木夢人は、オッパイ好きなデブのオタクだったのですが、ある日、オッパイと円周率の神秘に気がつき、これを探求することに人生を捧げようと決意する。しかし、このままでは一生なまのオッパイを見られないかもしれないと思い至り、高校入学まえに壮絶なダイエットをしてイケメンとして生まれ変わる、つまり高校デビューですね。ここまでで一巻の20ページなのですが、どうでしょう、この時点でもうすでに私たちの拗れた自意識が好みそうな漫画の体をなしておらず、気合いの入ったド直球の青春物語なのです。ただ、ちょっと、この気合いの入り方があまりにも偏狂的なんですね。何しろ、オッパイと円周率の神秘を探求して、人類に幸せをもたらし、ノーベル賞を取ろうという夢のようなはなしのですから。だけど、きわめて純粋で誠実で健全な漫画だと思います。自己紹介になりますが、純粋で誠実で健全な漫画が大好きです。