熱海を舞台に描くサイレントラブストーリー‼(ヤングアニマル2019年13号)
【第5回トーチ漫画賞〈大賞〉受賞作】エアコン組立工場で働く川上綾は、小説家志望。 繰り返される単調な日々の中、月に一度、文芸サークルの集いを楽しみにしている。 しかしある事態をきっかけに、信じていた日常は崩壊する。 「”創作”なんかから卒業するきっかけを 本当はいつも探していたんだ」 逃れられない創作の呪縛、 この苦しみが誰かの喜びに変わる時まで――。
小学生の佐藤はある日、棒人間になる病気にかかってしまう。病気を治す方法は、脳に刺激を与えること。思春期の刺激といえば、“恋”――!?ジャンプ期待の新鋭が送る青春ドラマラブコメディ!
なんとなく普段あまり読まないヤングアニマルをパラパラっとめくっていたら目に留まった読切作品。 女子高生が放課後に好きな男子の下駄箱に「ラブレター」を入れようと決心して入れたらちょうど本人が来てしまったところから始まる小さな恋の物語。 美しく描き込まれた背景、豊かな表情、人物の可愛いデフォルメ具合のバランス、グッとくる構図が素晴らしい! 効果音はあれど基本的にはサイレントで話が運ぶのに空気感がとても良く伝わってくる。 少女が猫へ向ける表情一つで何を考えているか伝わって来る気がする。 猫缶に夢中になっている猫へ「お前はいいよな、恋とかそんな心配しなくていいんだもん」っぽい顔がとてもいい。 そしてそれを察知したらしい粋な猫。 熱海の海岸沿いの立体感のある土地柄も伝わってくるし、美しい夕方のちょっぴり切ない雰囲気も感じ取れる。 特にラスト4ページが素晴らしい! 最後にして最初に発する言葉、その一言が、そう、それだよね! 言ってる表情が見えないのもまたいい! タイトルが「ラブレター」だからお話はここまでなのだ! ここから先も読みたいけど、読みたいけど、余韻を残すこれがいい! 作者さんが映画等の映像作品を良く見ているのかなと思う。 なんとなく構図的やカメラワークのカメラが見えるから。 すごく映像的な漫画なので、3分ほどのアニメーションでも見てみたくなる。 雑誌の巻末作者コメントにて 「はじめまして。僕の初恋は熱海でして、その時の気持ちを描いてみました。よろしくお願いします。」 とある。 熱海での初恋の爽やかさ甘酸っぱさ、伝わってきました! ありがとうございます!