あらすじ入院中の老妻を見舞った老夫が、同じ病室の名札に見た名前。それは遠い昔、初めて恋をした人と、同じ名前だった――。東京郊外にある住宅地「見晴らしガ丘」に暮らす、世代も立場も様々に異なる人々の、平凡な日常に起こった小さな異変を鮮やかに描いた連作シリーズ、待望の電子書籍化。第15回(1986年度)日本漫画家協会賞・優秀賞受賞作品。第一話~第八話を収録。
東京の郊外にある見晴らしガ丘は、昔は野川村といって畑ばっかりのだったらしいが、今はよくある住宅地となっている。 結婚したら女性は家に入るのが普通で、女は25過ぎたら売れ残り、26で転職を重ねる息子は悩みの種で、携帯電話もパソコンもない時代。 その時代のその場所にいたこともないのに、読んでてすごく懐かしい感じがした。 巻末の出典によると、収録作品は1984〜1985年に週刊漫画サンデーに掲載されたそうなので、作中の時代もそのくらいかも。 上巻の、所帯染みてく妻が近所の若い女の子とおじさん夫婦を観察する「となりの芝生」。下巻の年老いた妾と本妻ともに暮らす「改心」が面白かった。