あらすじ繁栄を極めた大都市が巨大な廃墟へと姿を変え、残された人々は完全食品生産プラントの周りに集まって暮らしている世界。危険な廃墟から遺物を回収して生計を立てている探索師ハルカは、相棒のソルと禁忌の食物を探して旅に出る。
伸縮する棒で戦う子×知識情報担当の子のバディ物である本作。『ドラゴンボール』の初期を想起させるものがありますが、本作は途中からトーナメントバトルになったりせずに、終末世界SFとして、かなり独特な作品になっています。 廃墟を冒険する超強い探索師・ハルカは、廃墟から小さなデバイス・ソルを発掘する。ソルの力を借りて、ハルカはある物の探索を始める。 彼女が探す物、それはカレー。 食料が統制されて、皆同じ物を食べている社会。供給されるブロック状の食糧。皆が食の楽しさを忘れている中で、一人食を追求するハルカの自由さと、食料の供給を通じて人々を支配する「教会」との対立は、寓話/風刺としても面白い。 勢いと戦略性のあるバトル描写、ブロック状の……どこかで見たことのあるような食料の汎用性、教会がひた隠す世界の秘密、そしてカレーを求める事と人間らしさ等々、読みどころ満載で充実したSF。どっこい生きてる人間の逞しさと駄目さと楽しさが、この作品には詰まっていると感じました。