「BLACK TORCH」のタカキツヨシ先生新作。手堅い能力バトルな前作とはうってかわって終末後の世界を描いたSFです。ど迫力のメカアクションにあっと驚く展開、「BLACK TORCH」と比べてもスケールアップが著しいです。  そして変わらず素晴らしいのがキャラの魅力的なこと。感情豊かな人間の少女ルゥ。人間らしいコミュニケーションを会得した、AIを搭載したロボットたち。人間(AI?)ドラマとしても面白いです。  人工知能を決して低く見ていないのが実に今どきの近未来SFって感じでいいですね。「AIには理解できない人間どうしの機微」というのは将来的になくなるそうです。機械が人間を知性で上回り、強力な機体をもち、自立した活動を行えた場合、人間は彼らの下位的存在でしかなくなってしまうのでしょうか。絶滅後の生き残りであるルゥは、その存在の珍しさから好奇心を満たす存在としてドロイドたちに可愛がられています。あるいはクロムのように、ルゥを守ることを使命としてプログラムされたドロイドもいます。どちらも見かけ上は人間が抱く愛情となんら変わりなく思えます。人間の感情も脳内物質の伝達とニューロンの発火からなるアルゴズムといいますし、作中のように高度に発達しいたドロイドと人間の差なんてあってないようなものかもしれません。
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