あらすじ彼は他人の心に入り込み、少しだけ他人の記憶を改竄(かいざん)する。しかし“ES”に悪意はない。ただ、心という不可視な世界で混乱と調和を弄ぶ。これは、“ES”としか呼ばれなかった青年・秋庭亮介(あきばりょうすけ)と、東鵬医大の研究員・九條未祢(くじょうみね)の物語――。「……じゃあ、あなたは何なの? 何のために生まれてきてこの世に存在するのか―― 自分のことを明確に答えられますか?」
不老不死の研究の為に遺伝子操作で生まれた生命体〈ES〉には他人の脳をハッキングできる能力が備わっていた。研究所を脱出したESは秋葉亮介という人格に寄生し一般社会に溶け込んで生活していたが、脳生理学の研究員をしている九條未祢と遭遇したことで事態が一転する。未祢は稀にいる秋葉が脳をハッキングできない体質の人間だったのだ。未知との遭遇をした未祢は最初は戸惑っていたが、ESのクローンとして生み出されたイザクという少年の暴走に巻き込まれたことをきっかけに、徐々に秋葉にとって唯一の理解者となり互いに愛し合うようになっていく…。 惣領冬実先生が本格的に少女漫画から青年漫画に移行された最初の作品です。私はMARSから惣領先生の作品を読んで人間のトラウマや絶望を描かれるのがお上手な方だと思っていましたが、今作は青年誌で連載されたということもあり更に制限がなくなって、より描きたかったことを描かれているんだなという印象を持ちました。