私的漫画世界|高橋留美子|めぞん一刻
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ネット上の情報で漫画関係者がデビュー時の高橋留美子を「10年に1人の才能」と絶賛した記事を読んだことがあります。この「10年に1人の才能」という褒め言葉は大変なものなのです。
日本で漫画文化が一定の地歩を占めるようになってからまだ60年ほどしか経過していませんので,「10年に1人の才能」の持ち主は6人しか出ていない計算になります。さすがにベスト6に入るかどうかは迷うところですが,大変な才能の持ち主であることだけは確かです。
「高橋留美子」は1978年に「勝手なやつら」で漫画家としてデビューしており,「うる星やつら」,「めぞん一刻」,「らんま1/2」,「犬夜叉」と連載作品はすべて大ヒット作品となっています。
主要な活動場所はメジャーの少年誌であり,そこは女性作家が敬遠されることが多く,しかも人気による浮沈の激しい世界です。そこで30年に渡り看板作家としての地位を維持してきたのですから確かに大変な才能のエンターテイメント作家ということができます。
人物の描画は「うる星やつら」におけるきつめのものから,「メゾン一刻」では物語の進行に合わせ,柔らかいものに変化していき,その画風は現在まで引き継がれています。個人的には画風が確立し,大人の鑑賞にも十分に耐える内容をもつ「メゾン一刻」が彼女の最高傑作であると考えており,ここではこの作品を取り上げたいと考えます。