「夢幻館」に掲載された新作の短編を4編収録したもの。今回は昭和30年代から40年代にかけて。高度成長に沸く日本社会。その時代を生きる子どもたち、大人たち、そして学生たち。同時代を生きた作家が彼らの青春群像を穏やかな視点で描く。
実の両親と愛する夫、二人の子供にも恵まれて、家族6人で幸せな生活を送っているはずの舞子。だがある日、突然頭の中で声が聞こえる。毎日が少しも満たされない…と。すぐに自分の独り言だと気付くが、幸せだと思っていたのに、何が不満だというのか…?そんな話を夫にしたところ、それは話し相手がほしいからだと、久し振りに友人に会うことを勧められる。そして舞子は、中学時代の友人・林京子に会うことにしたのだが…?
郊外の町へと引っ越してきた「わたし」とその一家。「わたし」の娘・志保は、なかなか新しい環境に溶け込めないでいたが、ある日、のり子という友達ができる。仲のよさそうな二人をみて「わたし」はのり子を気に入り始めるが、ある時、のり子の意外な一面を目撃してしまう──。子どもたちのみずみずしくも不安定な心情を、日常風景から切り取り描いた珠玉の短編集。
梨木香歩さんの名作『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(理論社、のち岩波現代文庫)を樹村みのりさんが漫画に! 『君たちはどう生きるか』の主人公にちなんで「コペル」と呼ばれる14歳の「僕」。連休初日の朝、染織家の叔父ノボちゃんがやって来て、学校に行くのをやめた親友ユージンに会いに行くことに……。 「考える」ことを手放さずに生きることの意味を、一緒に考えてみませんか。
凄惨な強姦殺人、カルトの洗脳、家庭内暴力と息子殺し……。事件が照射する人間と社会の深淵を描いた短編漫画集。
大学を卒業したばかりの井上工(いのうえこう)は、気ままにアルバイトを渡り歩いていた。ある日よく通っているバーで歌を歌うマリエと出会い、そして彼女に惹かれていく。叶わぬ憧れに胸をこがし、自分の生き方を探す青年のせつないラブストーリー。表題作「フライト」他4編収録。
母子関係に苦悩するボーイッシュな少女・森展子(もり・のぶこ)の、恋愛と成長を描いたウーマンドラマ。海辺の町へやってきた森展子は、水を飲もうとした公園の水道が壊れていたのがきっかけで、近所に住む年上の女性・佐野(さの)と知り合う。そして子供服のデザイナーをしている佐野から展示会に誘われた展子は、その帰りの電車で、スカートがうまくはけないという悩みを佐野へ打ち明けるのだが……!?
郊外へと引っ越した先で娘の志保に出来た友達・のりこ。明朗快活なのりこは娘の一番の友達になった。しかし、ある日彼女の隠された闇を目撃してしまう――…。表題作「悪い子」他、5編収録。
田舎を飛び出して都会へ来たジョーンが見つけた仕事は、ボストン・ジャーナルの編集助手だった。そこでサッコ・ヴァンゼッティ事件と出会い、考える――。果たして、被告人は死刑にならなければいけないのか……。実際に起きた偏見による冤罪をテーマにした「あざみの花」他、「マルタとリーザ」など2編収録。
まぁちゃんのお家は菜の花畑を見渡せる場所にあり、お母さんと同居人の伯母さんと3人で暮らしていました。部屋が空いてるので、家計の足しに男子学生を下宿させようと募集をかけたはずが、寮を追い出され無一文の女子学生4人が下宿することに……。アットホームなドタバタコメディ。
ジョーン、ビリー、ベッキーの三姉妹は母親が長期入院することになり、別々の親戚のもとで暮らすことになる。しっかり者のジョーンは独身の叔母のもとで、ビリーは歓迎されず肩身が狭い思いをし、ベッキーは叔母の家族と楽しく過ごしていた。三姉妹はそれぞれの場所で自分の生き方を見つけていく――…。
「上野舞子は毎日が少しも充たされていない」何不自由のない幸せな家庭を築いている上野舞子は10年ぶりに高校の同級生、水島麻子に電話をかける。独身で自由に生きる彼女と話すうち、舞子は自分の人生について見つめ直す…。母親から観た娘、娘から観た母親。母娘関係について感慨させられるヒューマンドラマ。
「わたしの宇宙人」をはじめとする「結婚」がテーマの連作短編に、代表作「菜の花畑シリーズ」の全9編を収めた短編集。
高校時代の仲良しグループと久しぶりに会うことになった野川。しかしグループメンバーの沢本さんに対して会いたくないほどの嫌悪感を抱いていた。一体なぜ自分はこれほどまでに沢本さんが嫌いなのか―…?表題作『歪んだ鏡』の他、人間の繊細な心を描いた作品4作収録。
“ジョーン・B・アンダーソン”はハイスクールに通う高校生。人柄がよく誰からも好かれる彼女はある日、バーバラという女の子に声をかけられる。バーバラは以前友達だったと言うが、ジョーンは彼女を何故か覚えていなかった。
“ローマへ行くことになった主人公の少女は、「ローマだけはぜったいにひとり歩きはするな」と友人達に念を押されていた。しかしクォ・ヴァディス聖堂だけは見ておきたかった彼女は、ローマでひとり歩きをすることになる――。
一切やっていないのにクラスで不良やドロボウ呼ばわりされる志村君。心が折れそうな志村君だが、クラスメイト武藤さんが唯一庇ってくれて―…。表題作『雨』の他、少年少女の心の痛みを描いた7作を収録した樹村みのりの初期作品集!
行方不明になった飼い猫の「愛ちゃん」を捜す、作者の体験をもとに近所の人との触れ合い、猫と作者とのつながりを描いた表題作を中心に、猫の物語を収録。社会派のストーリーテラーが描く猫と人の物語。
将来のことを、ただぼんやりとしか考えていなかった青年は就職戦線に取り残され、現在は仕事探しと称してアルバイトを転々とする、気ままだが、どこか重苦しい生活の日々を送っていた。そんな青年・井上は、行きつけのバーで、最近になって見るようになったシンガー・マリエという女性の歌に夢中になる。彼女が出演する時は、朝まで店にいるのが日課になっていた井上は、ある晩、彼女に声をかける。その後、始発電車で彼女を家まで送った井上だが…。
友人の婚約披露パーティーに仲の良い4人組で出席した水沢リツコ。二次会、三次会と進み、酔っ払って気づいた時にはホテルの一室で、一緒にいたのはなんと花婿側の男・橋本。二人とも何も覚えていないのに、橋本は責任をとって結婚すると言う。そして橋本は言葉どおり、リツコの家に結婚の申し込みに来て…!?
子供心を情緒豊かに描いた漫画や絵本、イラスト詩などを、カラーページ満載でお贈りする樹村みのりの心温まる作品集。ある日ある時、町の中に“たずねびとこの女の子見つけてください名前ローズバッド・ロージーわたしです”という一枚のポスターが貼られる。しかし行き来する人々は、誰もそのポスターに気づかず、ある日の強い風にポスターは飛ばされてしまう。そしてそのポスターは、サーカスの少年・パコに拾われて……!?
高校時代、仲の良かったグループ。そのグループで何年に一度かの集まりがあるのだけど、もっと気分が弾んで、みんなに会うのが楽しみのはずなのに…なぜか、その中の一人に会いたくない。『彼女と会いたくないので集まりには行かない』。こんなふうに言えたらよかった…私が彼女を嫌っていることを、みんなは知っているのだろうか…?
別々の家庭に引き取られた三姉妹を描いた表題作と、他2作品を収録した樹村みのりの傑作短編集。14歳のジョーン、11歳のビリー、8歳のベッキーの三姉妹は、母親の病気のため、それぞれ親戚の家に預けられる。独身の叔母と暮らすしっかり者のジョーン、親戚の家で肩身が狭く愛に飢えるビリー、ロサンゼルスに住む叔母の家族と楽しく過ごすベッキー、それぞれの家庭で成長していく三姉妹だったが……!?