『恋は光』など、独特な恋愛観が持ち味の秋★枝先生の最新作。 コミュ力高いギャル風な荻野目さんと、ちょっとコミュ障気味な二宮くんの、図書室で繰り広げられる会話劇。 図書室というほぼ誰もいない空間で、2人だけの特別な時間が描かれます。 端的にいってスゴイよかった~。 元々『恋は光』が好きだったのもあるけど、『隣のお姉さんが好き』とか『僕の心のヤバイやつ』とか、じわじわとすすむ2人の関係が好きな人だったらハマると思います。 なんでもない会話なんだけど、読みやすいテンポで、また誰もが一度はもった疑問だったりちょっと興味のあるテーマ(例えば心理学的なものやことわざ的なもの)だったりするからつい読んでしまう。 なんでもないようなことを独自の着眼点で面白く描けるのが、この作家さんの持ち味だな~と思う。 コミュ力モンスターの荻野目さんによって、会話が苦手な二宮くんもついついしゃべってしまい、それが楽しくなって、やがて特別な感情を持ち始める。 一方、荻野目さんは何を考えているのか、わからない感じ。 この2人の関係ずっと眺めてられますわ~。 個人的に2023年ベストコンビです。
なんて可愛らしいイチャラブコメディなんだw ほとんど毎回カノジョ(草壁さん)の睡眠欲に負けて添い寝オチというほのぼの展開が続くのですが、最後にまさかの進展が……!? とまぁ元々が一発ネタのような漫画とはいえ2巻でスッキリ完結していて悪くない読後感です。 流行りのピクシブコミック風の本編のフラッパー版と比べ、2巻に掲載されている3年前のミラクルジャンプ掲載版の絵柄ほうが、疲れたサラリーマンとOL感があって作品には合っている気がしました。
このマンガ、カードゲームの世界の描き方がかなりリアルだなと思いました。 ショップの雰囲気とか、戦術への感触とか…。 パーミとかカウンターって別に当たり前の戦術なんですけど、ビミョーな印象の悪さがある感じとか、カードやったことある人だったら「あ、あぁ〜〜〜ッ!!」ってなる瞬間がとめどなく押し寄せてくるような。 多くのカードアニメって主人公が闇堕ちしたときに「そのゲームが楽しい」っていう思いを取り戻す展開があると思うんですけど、これだけリアルな世界観でそれをやられるとちょっとベクトルの違う迫力がありました。 ラブコメの魅力もさることながら、まだあまり知られていない競技カードゲームの世界の魅力と厳しさに触れるのにもいい作品だなと思います。
秋★枝先生の初期作品集。恋愛が中心テーマだが、そこは先生のこと、一筋縄ではいかない。オモロイ切り口の物語に、読んでいて思わずえっ?と言ってしまう。 ●『伊藤さん』クリスマスに失った恋から始まる、新たな恋の歳時記。育まれる恋にトキメキが止まらない。 ●『先生+』女性教師が手違いで魔法使いに!彼氏にそれをバラそうとするところから始まる切ない恋の顛末。切なさが急に来て辛い… ●『はじまり』母親の再婚相手の連れ子に、お兄ちゃんと呼ばれてドキドキするけれど……。この変身はズルい! ●『ハイ&ハイ』背の高い女の子が、初めて自分より背の高い男の子と付き合ってみたら……。なるほどそういうこともあるのか… ●『憧憬の家』夫がノリノリで買った忍者屋敷。彼は買ったきり興味を持たないが、実は私は……。これ一番好き。妻かわいい。 ●『Chocolate Cake』結婚記念日を忘れた夫の、お詫びのケーキに悪態をつく妻。夫の気持ちは……?表情を見せない夫の演出が意味深でニクい。 ●『ふたりの出会いのお話』現実のカップルの結婚式のパンフレットに寄せた作品、ということらしい。特別変わった話ではないが、番う二人のやりとりの「ときめき」を美しく描く。 ●『ブラフ』バレー部の引退試合に向けて、次期キャプテンは3年の先輩達に厳しく当たる。先輩達は怒るが……。悪役の不器用さ。最後にニヤッとさせられる。
新入生の毛利と楠が入部した弓道部は、ふざけた先輩の巣窟だった!今日も用具を手に、モノボケに興じる面々。ウケた時の合言葉は「射!」……それでいいんか? 思考戦と人間関係のドラマを紡ぐのが「陰」の秋★枝先生だとしたら(『純真ミラクル100%』『Wizard’s Soul』『恋は光』など)、『煩悩寺』や『起きてください、草壁さん』のような、細かいネタを詰め込むシチュエーションコメディを繰り出すのは「陽」の秋★枝先生。この『的中!青春100%』は、「陽」の作品に分類されるだろう。 (やや強引に分類しましたが、がっつり秋★枝先生ワールドに引き込まれたい方は「陰」の作品、気軽にコメディ+恋愛を楽しみたい方は「陽」を読むといいかも、くらいの気持ちです) 弓道部の先輩達は、なかなか部活をしない。用具を手にモノボケに興じ、別のスポーツで遊び、真面目な毛利(本名は杉本)を呆れさせる。 特にシリアスなドラマもないので、おかしな面々に振り回されるうちに、状況に染まりそうになる毛利(本名は杉本!)の行く末を、気軽に眺めていたい、そんな作品が、およそ100ページ。 後半は、恋愛のかけらの4ページが少しずつ積み重なってゆき、幾つかの愛になる約70ページの作品群『ワンシーン』。どちらかといえば「陰」の秋★枝先生だが、短い瞬間の恋心を切り取り、ドキッとさせられて終わるのが気持ちいい。
土曜日の朝寝を満喫する草壁さんを起こそうと、学臣は毎週、様々な趣向を凝らす。しかし草壁さんの睡魔には通用せず、逆に同じ布団に誘われて一緒に寝るはめになる。 学臣は毎週、ものすごく手の込んだ仕掛けを用意して、草壁さんの気を引き、覚醒させ、デートに連れ出そうとする。そのネタのバリエーションは幅広く、面白い。 時に知的興味に、また時に羞恥心に働きかけ、ロジカルかと思えば時に情緒に訴える彼のプレゼンは、草壁さんも、読者も飽きさせない。 なのに。 それでも草壁さんは、起きてはくれない。 草壁さんの最終兵器は、学臣を容易に屈服させる。 その最終兵器「一緒に寝る」は、学臣にとって敗北であるはずなのに、学臣に幸福感を与えてしまうという点において、誰も不幸にしない、究極兵器である。卑怯だ。だがそれがいい。 果たして彼は、一度でも草壁さんに勝てるのか、よしんば勝てずとも、2巻を通して、学臣のネタは枯渇しないのか……。女の子の寝室で尖ったネタと豆知識を繰り広げる、良質なバラエティ漫画を、お試しあれ。 【教えてください】 2巻真ん中あたりで終わった後、ちょこっとキャラが変わった、ダイジェスト版みたいなのが始まるんですが、これ何ですかね? だんだん違うネタになっていって、これはこれでいいのですが、説明がないんです……。
父の借金返済の為、世界的カードゲームの大会に出る一ノ瀬まなか。母譲りの「不快な」戦い方で、恋も友情も捨てる覚悟で戦いに臨む、まだ中学生のまなかは、戦いの果てに何を見出すのか……。 母の命を繋ぐ為に必死でゲームに強くなった幼少期、そして今は家族を守る為……。中学生のまなかが背負う荷物は、重すぎる。 それに耐えるように、試合中のまなかはいつでも無表情。それが彼女の試合の、異様な緊張感の演出になっていて、息苦しい。 まなかの戦術は「パーミッション」と呼ばれる、相手の行動を阻害するもの。それだけでもいやらしいのに、彼女はプレイに神経戦を持ち込み、相手を陥れる。これがハマる瞬間の、相手が「何も出来ずに呆然と見送る」絶望感が気持ち良い。 楽しくプレイするプレイヤーには嫌われる覚悟のまなかだったが、意外とプレイヤー達は、猛者であればあるほど、まなかを放ってはおかない。そして戦いの合間に、思いがけず人に好かれ、ガードが緩み感涙するまなかに、こちらも涙を誘われる。 このゲーム自体が嫌いだ、と思っているまなかは、次々と出会う猛者達の、様々な「好き」の形を見ることで、抑圧していた自分の心と少しずつ向かい合う。 この作品、例えば何らかの競技者で「自分は才能はあるが、競技への愛情が不足している」と悩んでいる人に届いて欲しい。まなかの心の確かめ方から、新たな気付きを得られるかもしれない。
小山田君の部屋は、ヘンテコグッズでいっぱい!恋に仕事に疲れた小沢さんは、今日も彼の部屋でダンボール箱を開ける。中身に驚き、笑って飲んで元気になれるこの部屋、通称「煩悩寺」で、今日は何して遊ぼうか? 小山田、小沢と小山田の友人・島本の3人は、部屋にあるグッズで遊んだり、それをネタに笑い転げたりと、あまり社会人っぽくない遊びに興じる(酒は飲む)。その日の遊びは、開封する段ボール箱任せ!という博打感を楽しむ、彼らの力の抜け具合がいい。 煩悩寺にあるグッズはとにかく悪趣味、煩悩丸出しで、くだらないものが多い。しかしそれらは裏を返せば、欲望に忠実で、隠し事がないということ。小山田の基本ウェルカムな性格もあって、小沢にとって煩悩寺は、素の自分のままでいられる、寛げる場所のようだ。こんな秘密基地、私も欲しい。 失恋の痛手や仕事のストレスを癒してくれる煩悩寺は、小沢にとって、次第に大切な存在になってゆく。そしてそんな場を創り出す「変人な善人」小山田との関係も……。 煩悩寺のグッズ達をゲラゲラ笑いながら遊び、受け入れる小沢は、島本に言わせれば「素質あり」。部屋の主との相性はいいんじゃないの?ということで、いつも楽しそうな息のあった二人の関係を、島本と一緒にいじりながら眺めていたい、そんなお話。
弱小芸能事務所の所長・高杉は、新人ミュージシャン・木村の恥ずかしい顔、困った顔にゾクゾクする。変な芸名、衣装、仕事を木村に与えて楽しもうとするが、それが次第に妙な方向へ盛り上がりを見せ……。 この作品で常にネタなるのは「クサい」「恥ずかしい」という言葉。 例えば大人の高杉がわざと「恥ずかしさ」を木村に与えようとしているのに、それをポジティブに捉える未成年の木村=モクソンは、却って大人が吐くには「恥ずかしい」言葉を高杉に与え、狼狽させる。 登場する大人達は皆それぞれに、仕事でも恋愛でも何かを隠しながら、捻くれた行動しか取れないのだが、モクソンの才能と嘘のない真っ直ぐさには、照れながらも自然と心を寄せ、協力を惜しまなくなる。 時に彼女のパチモンとも心を通じ、ウザいっす、と言われながらも大切に思い合う関係を築き、友情のドラマを紡ぐモクソン。彼女は敵を作らずに、みんなを繋ぐ中心となる、タレントとしては最高の「人たらし」の才能を持ち、音楽の才能も相まって大きなムーブメントを形成していく。 モクソンの描く理想は「ずっと事務所のみんなと仕事したい」というもの。大人たちのグチャグチャの人間模様は、それを安易に許さない。しかしそれでも「モクソンのため」という大人達の思惑の一致がどのようなラストを見せてくれるか、最終5巻の最後の最後まで、目が離せない。
「銀河の死なない子供たち」施川先生×「恋は光」秋★枝先生の豪華タッグによる、次世代トイレのハナコさん【新装版】 旧版を未読だったので、こんなのあるのかぁと思いながら読みました。トイレの花子さんというイメージの固まりきったネタを現代版にアップデートするのがまずうまい。構図も練られていて、引掛けっぽいストーリーで程よく読者を振り回してくれる。楽しい作品でした 新装版で初公開となった施川先生の小説はかなりバイオレンスな表現が多いものの、特有の爽やかな読後感でよかった
『恋は光』など、独特な恋愛観が持ち味の秋★枝先生の最新作。 コミュ力高いギャル風な荻野目さんと、ちょっとコミュ障気味な二宮くんの、図書室で繰り広げられる会話劇。 図書室というほぼ誰もいない空間で、2人だけの特別な時間が描かれます。 端的にいってスゴイよかった~。 元々『恋は光』が好きだったのもあるけど、『隣のお姉さんが好き』とか『僕の心のヤバイやつ』とか、じわじわとすすむ2人の関係が好きな人だったらハマると思います。 なんでもない会話なんだけど、読みやすいテンポで、また誰もが一度はもった疑問だったりちょっと興味のあるテーマ(例えば心理学的なものやことわざ的なもの)だったりするからつい読んでしまう。 なんでもないようなことを独自の着眼点で面白く描けるのが、この作家さんの持ち味だな~と思う。 コミュ力モンスターの荻野目さんによって、会話が苦手な二宮くんもついついしゃべってしまい、それが楽しくなって、やがて特別な感情を持ち始める。 一方、荻野目さんは何を考えているのか、わからない感じ。 この2人の関係ずっと眺めてられますわ~。 個人的に2023年ベストコンビです。