「母さ……やめ……」。振りほどこうともがく、まだ少年だった天本を、母は信じられないような力で押さえつけていた。「……消えて」。細い指が、ぎりぎりと天本の首に食いこむ。「消えてしまいなさい、おまえなど……!」。過去の悪夢を見はじめた天本のもとに、ベトナムから届けられた父の手紙。いま、失われた記憶の扉が、ゆっくりと開きはじめる――。
夢破れて地元に戻ってきた大介は、実家の酒店で働きながらも鬱屈を募らせていた。そんな折、何気なく訪れた神社で神主の鹿郎と出会い、口説かれて付き合うことに。とらえどころのない鹿郎に、振り回されてばかりだけれど……。その他に庭師達の恋模様など三編、椹野道流の書き下ろし短編も収録。路地裏カフェくろねこ屋を背景に、甘酸っぱい恋の歳時記をどうぞ──。
家柄抜群、優秀、加えて美形のエドワードの職業は、なんと探偵!今回舞い込んだ事件は、卒業した名門パブリックスクールを騒がす幽霊事件!?初の大仕事に喜び勇み、お世話係のシーヴァと共に母校へと旅立つが?