世界人口の7割が死亡した大災害「赤死病」。美貌の監察医ルスラン・クサカは密かに「美しい死体」を探し求めていた。そこに現れた刑事の真嶋。彼はルスランの卓越した解剖技術に目を付け捜査協力を要請するのだが…。
CannaComics『くろねこ屋歳時記』に続く、小説版『くろねこ屋』!路地裏に佇む邸宅内にある、隠れ家カフェくろねこ屋。美味しいお茶や食事が楽しめる瀟洒な店内からは、素敵な庭が望めます。店長のヒイラギは生真面目でポーカーフェイスだが、実は不器用なだけ。恋人であるオーナーのネコヤナギは、そんな彼が愛しくてならないようで……。パティシェのタンジーと高校生エイスケの初々しい恋などの他、四コマ漫画も収録。あたたかな恋が彩る歳時記をどうぞ──。
やられた……最高だよ、俺の子猫ちゃんは!カリノ製薬の打錠室に勤める草太は、「俺の子猫ちゃん」と呼んで何かとちょっかいを出してくる研究員の梅枝が嫌いだ。けれど、大きなプロジェクトに共に携わり、仕事への真摯な姿勢が格好いいと思い始めた。そんな時に告白されてキスをされ、その切なげな表情に彼の本気を知る。大切にされていることにも気づいて、面映ゆいが嬉しかった。なのに、梅枝の裏切りが発覚して……!?
養父である魔法使いの師匠を亡くしたカレルは、ひとりぼっちの寂しさに耐えかね、傍にいてくれる使役を創ろうとする。しかし、現れたのは寝惚けたような全裸の男!主従契約は交わしたものの、スヴェインと名乗った彼は使役らしからぬ態度でカレルに触れてくる。ご主人様であるカレルを「可愛い」と言い張るのには戸惑うけれど、その温もりに抱かれて眠るのは心地良くて……。
パン屋のホルガーは、毎晩やって来る客の魔法使い・ロテールが気になっていた。無表情で無感情な彼に戸惑うものの、その惨憺たる食生活を聞いて、放っておけなくなる。拒絶するロテールを「親切の押し売りだ!」と説き伏せ食事をさせ、頑固で面倒な奴と思いつつも、せっせと世話を焼いた。そして酔ったロテールが露わにした脆い素顔に、たまらない気持ちになって抱き締め……。
犯した罪を悔い、聖職者としての道を捨てた澄哉は、街を彷徨い不思議な喫茶店に辿り着く。そこで悪魔を自称する店主・吾聞に気に入られ、彼を満足させる“契約”で住み込み店員となった。悲壮な覚悟で犯した罪を告白しても、吾聞は不遜な態度で澄哉を受け止めてくれた。居場所をもらったようで嬉しい澄哉だったが、「いい拾いものをした」とご満悦な吾聞にキスされて……!?
自他共に厳しい医師の甫は、溺愛する弟と恋人になった部下の仲を見せつけられ、やけ酒で泥酔した。路上で寝込んだところを生花店店主の九条に拾われた甫は、「あなたを慰め、甘やかす権利を僕にください」と笑顔で押し切られ、添い寝までされてしまう。かいがいしく世話をされ、真っ直ぐ好意を告げる九条の優しい手に癒される甫。それでも己の寂しさ、弱さを認めまいとするが…。
天草から帰って執筆活動に励む天本森のもとに、父トマスについての新たな情報が届く。若き日の父を知るイギリス人が、京都に住んでいるというのだ。だが、敏生とともにさっそく会いに行くと、すでに姿はなく、ただひとつ天本あてに小さな油絵が残されていた。神戸まで足をのばし、久しぶりに龍村と再会した二人は、彼が怪奇現象に見舞われているのを聞いて協力することになるのだが……。大人気シリーズ最新作!
銀杏村に冬がやってきた。ゴータが経営する料理店「にゃんこ亭」は、相変わらず試行錯誤を繰り返しながらも、地域に密着したお店を経営中。頼れる相棒は、パティシエのサトルと、愛くるしいおかっぱ頭に三角の耳とふさふさの尻尾を持った少女――神さまの子、コギ。バレンタインデー、ひな祭り、そしてコギのお誕生日と、穏やかな日々が続くが……ハプニング発生!?人気の簡単レシピと一緒に、小さな幸せをお届け!(※電子書籍版にレシピは含まれておりません。)
数ヵ月ぶりに会った「組織」のエージェント・早川から、河合師匠の謎の行動について聞かされた天本森と琴平敏生。何の情報もないなか、ふたりは河合のあとを追ってイギリスへ向かうことになる。そしてたどり着いたのは、廃墟となった貴族の屋敷だった。惨殺事件があって以来、地元住民も近づかないというその場所で、ふたりが目撃したのは……。トマス・アマモトの知られざる過去が、ついに明らかに!
龍笛に宿る深い怨念。果たして正体は!?天本と敏生は下呂温泉へと旅立った。そこで旧い龍笛を買い取ろうとしている司野と出会う。ところが強烈な怨念が宿っていた。解き放たれた時、そこには何が――?
初夏の一日、自宅の広い物置で、天本森は悪戦苦闘していた。尤も、闘っていた相手は、妖魔ではない。「読者クイズにするんです、お願いします~」と編集者に泣かれ、高校時代の写真を捜していたのだ。捜せば、龍村が強引に撮った遠足かなにかの写真があるはずだった。だが、「これは…」ぎょっとして、手を止めた。見つかったのは、あまりにも思いがけない品物だった…。
「あれ?もしかして――琴平(ことひら)さん?」人気テーマパークに小一郎(こいちろう)たちと遊びにきていた敏生(としき)は、人込みのなかで誰かに呼ばれ、振りかえって、目を丸くした。かつての事件で会った懐かしい顔――当時は女子高生だった2人の女性の姿が、そこにあったからだ。その2人から持ちかけられた、ある相談事。「あるひとから預かってくれって頼まれたものがあるんです。でも、それが……」
「これは……」天本の喉から、掠(かす)れた声が漏れる。手渡された紙片に淡い水墨で描かれていたもの――それは「十牛図(じゅうぎゅうず)」の第ニ図だった。真の理(ことわり)を求める人の姿を寓した、10枚の絵のうちの、第ニ。しかし天本にとっては、その図は違った。見れば厭でも、忌まわしい記憶が甦る。思い起こされてくる男の顔がある……。大人気ネオ・オカルト・ノベルス、新展開!
天本家近隣の会員制スポーツクラブ。本を読みながらマシンを使っていた女性が突然倒れて死亡した。居合わせた天本は、彼女の本に奇妙な図案の栞が挟んであるのを発見する。4つの羽と顔を持つ、どこか禍々(まがまが)しい、人に似た生き物の図案。前後して、河合の知人が死に、天本に調査の依頼が。彼女の居室を調べた天本は愕然とする。そこには、あの図案の栞があった・・・。
精霊の血を継ぐ少年・琴平敏生と、売れっ子作家にして追儺師の天本森は、霊障を祓うために各地に赴きながらも、平穏な日々を送っていた。ある日、「君への贈り物だ」と天本が敏生に差し出したのは、先日亡くなった敏生の絵の師匠・高津園子のスケッチブック。そこには、園子が生前果たせなかった、ある願いが託されていた。ふたりは九州の天草を目指し、少女と出会うのだが……。
「え……えええええええええっ!」「ば、馬鹿な――」弥生3日の雛祭り――男所帯ながら、ちらし寿司などを愉しく食していた天本と敏生(としき)は、その夜、テレビのニュースに目をむいた。京都で、平安装束の謎の男が、刀で通行人を傷つけ、行方を晦(くら)ましたというのである。が、その男の顔はまぎれもなく、「たっ、龍村さん……!」――それが思いがけぬ事件の発端であった。
監察医・龍村泰彦の誘いで、丹後半島の海辺に住む彼の祖母の家を共に訪れた天本と敏生は、そこで奇妙な事実を知る。龍村が6歳の少年だった頃、神隠しに遭った経験があるというのだ。だが、現在の龍村は、当時の記憶をほとんどなくしていた。やがて、奇怪な出来事が彼らを襲い、龍村の記憶が蘇りはじめる。記憶が完全に再生されたとき、果たして何が起こるのか。天本と敏生は、龍村を護ることができるのか!?
「できるだけ早く、帰ってきますね」――ひとりは、さびしいから。そう言って、微笑(わら)って父のもとに出かけていった敏生の、なつかしい、可憐な姿。――冷たい父だった、という。優しい言葉ひとつ、かけてもらえなかったという。けれど、死期が迫ったとき、彼は突然、息子に言ってきたのだ。会いたい――と。(……何か、胸騒ぎがする……)天本の予感は、まさに的中しようとしていた!
「……いた。あそこです」その声に、敏生も天本も龍村も目をあげ、そして息をのんだ。星も凍るような寒夜。静まりかえった裏庭に、じっと立ちつくして。やがて、つぶやいたのは、誰だったろうか。「……あれが……」彼らの目に等しく映っていたもの――それは、首のない大きな白い犬の姿だった……。ネオ・オカルト・ノヴェル!
ほんの1泊の小旅行だった。絵の師匠と、ちょっと出雲(いずも)に出かけただけだったのだ。今夜はもう天本(あまもと)に会える。1晩離れていただけで恋しくてたまらない天本に、今夜は会える。そう信じて疑わなかった。ところが、敏生が戻ってみると、我が家は無人だった。その異様な雰囲気に敏生は戦慄した。式神の気配すら感じられない。天本は、いったいどこに消えてしまったのか。愛しい人を捜して、敏生の戦いが始まる!
クリスマスイブ!特製ローストチキンの食卓をなごやかに囲んでいた天本と敏生に、新たな「依頼」が舞い込んできた。あるテーマパークで幽霊騒ぎが頻発しているので、浄化を行ってもらえないかという。そこは以前、天本が術者として半人前だったころ、関わったことがある場所だった。今、再び、敏生とともにその地を訪れることになった天本。だが、悪夢の迷宮は、まさにその扉を開こうとしていた……。
「それから……、滑り台の近くに、これが」。そう言って敏生(としき)の差しだした物を見た瞬間、胃の捻れるような感覚が天本を襲った。それは河合の丸眼鏡だった。無惨にひびの走った薄いレンズ。まるで河合自身の身に同じことが起きたとでもいうかのように。事実、河合に同行していた早川は、重傷で倒れているところを発見されていた。だが、これは発端にすぎなかった。さらに怖ろしい出来事が天本を待ちうけていた……。
天本と龍村の運命的な出会いのシーンが明かされる「石の蛤」。学園祭の舞台で龍村が大活躍する、感動的な「人形の恋」。修学旅行先の遊園地で不思議な幽霊との交流体験の「約束の地」。3つのエピソードで、天本と龍村の高校時代が語られる。“奇談シリーズ”初の短編集をお楽しみください。