母を亡くしてシュバリエ家に引き取られた16歳の少女・ブランシュと出会った詩人・オリヴィエは、彼女の瞳の奥に白い炎が燃えているのを見る。その後、シュバリエ夫人のサロンに自作のドレスで社交界デビューをしたブランシュは、その自由すぎるデザインのドレスを夫人達から酷評されてしまうのだが、ナタンソン夫人とオリヴィエだけはそのドレスの魅力を感じ取って……!?
戦時中でも自分らしさを貫いて生きた女性を描いた表題作と、婦人が参政権を獲得する前夜のさまざまな女性達の姿を描いた「十二月の光輝」シリーズを収録した市川ジュンの傑作集。昭和20年の横浜で、夫・秀太郎(しゅうたろう)と愛息・幸一(こういち)と暮らす百川美以(ももかわ・みい)。そして周囲の主婦達から反感を買いながらも、自分らしく生きていた美以だったが……!?
戦火で家と父親を失った少女・桐江(きりえ)が、さまざまな人々と出会って小さな洋食店「ひまわり」を開店するサクセス・ストーリー。昭和25年、空襲で家と父親を失った桐江と家族は、家があった土地で屋台の食堂「ひまわり」を開店する。そして初めての客に梅雑炊とけんちん汁を出した桐江は、一口しか食べなかった客から「期待はずれ」と酷評されてしまうのだが……!?
料理カメラマンの道を歩む女性・大江実(おおえ・みのる)が、さまざまな経験をして成長する姿を描いたウーマン・ドラマ。夏休み前日、学生課でバイトを探していた大学生・大江実は、強面の料理写真家・草刈(くさかり)の助手をする事に。そして草刈の撮影風景に立ち会った実は、料理写真の奥深さを知って興味を持つようになるのだが……!?
戦後の女性誌記者・高村凛子(たかむら・りんこ)の目を通して、さまざまな分野の先駆者となった女性達を描いた表題作シリーズと他4作品を収録した市川ジュンの傑作集。昭和25年、小父の紹介で出版社へ行った高村凛子は、いきなり記者見習いとして婦人平和会議に同行する。そしてそこで平和を願う女性達の熱弁に涙を流す凛子は、自分が探してたものに出会った気がして……!?
伝説の女スパイ“マタ・ハリ”の公開処刑を目撃したマタ・ハリの娘・バンダは、その壮絶な死に様を目に焼き付け、愛する母を殺した者達への復讐を誓う。その数年後、サラ・バンサワンと名乗り女子寄宿学校に通うバンダは、マタ・ハリに死刑を言い渡した裁判長・サンプルー大佐の娘・アナベラに接近し、サンプルーの屋敷へ訪問する。そして復讐の機会を狙うバンダだったが、アナベラの幼なじみの青年・リシャールと出会い……!?
昭和初期を舞台に、気丈な女性弁護士・夏木旭(なつき・あさひ)が、権利や自由を持たない当時の女性達のために奮闘するウーマン・ストーリー。高等文官司法科試験が女子に門を開いた昭和11年、教員になるために師範学校に通っていた19歳の夏木旭は、弁護士を志して司法試験に向けての勉強に励む。しかし旭に早く家を継ぐ婿養子を迎えてほしいと考える母親は、旭が弁護士を目指す事に反対して……!?
父親同士が友人だった縁で、5歳違いの新郎・圭吾(けいご)と結婚式を挙げた19歳の花絵(はなえ)は、会う回数もわずかだった圭吾と初恋のような蜜月を過ごす。しかしその4年後、なかなか子供に恵まれない花絵は、嫁ぎ先でも実家でも肩身が狭くなり、精神的に追いつめられていく。そんなある日、子もなくひっそり生きた光源氏の妻“花散里”を、花絵に例える義母と義妹の会話を聞いてしまった花絵は……!?
幕末の慶応三年、江戸に近い横濱村の料理屋“元町亭”で、さまざまな西洋料理を意欲的に作り出す娘・りせ。そんなある日、元町亭へやってきた外国奉行所の役人・堀(ほり)から呼ばれたりせは、将軍・徳川慶喜(とくがわ・よしのぶ)が外国の公使を招待する宴で、完全な西洋料理(フルコース)を仕上げられる料理人を探していると知り、自分に命じてくれと頼み込むのだが……!?
明治時代の横浜。外国人の現地妻の娘として育った杏。周囲の偏見や差別にさらされる彼女が見つけた新しい世界とは!?運命と闘いながら力強く生きる女性を描いた長編2作を収録。
古都・鎌倉を舞台に、不思議な力を宿す“風の杜”で、時空を超えたさまざまな恋模様が交錯するファンタジック・ラブストーリー。失恋による感傷旅行で鎌倉へやってきた美鳥(みどり)は、ひょんなことから大学生・多(まさる)と知り合い、彼の働く店「風」のオーナー・風宮高王(かざみや・たかお)と出会う。そして風の店内にあった骨董品の櫛を手に取った美鳥は、失った恋を思い出して思わず涙を……!?
後に尼将軍と恐れられた北条政子の半生を、源頼朝との恋愛を通して描いた歴史絵巻。流人だった頼朝と運命的に出会い、数々の戦を乗り越えて天下の覇者にまでのぼりつめた夫婦の愛を、ドラマティックに描く。怒濤の第1弾!
時は平安末期、貴族の家に生まれた日名(ひな)は姉の許婚、平業房に恋心を抱いていた。その想いは姉の死で遂げられ、幸せを手に入れた日名。だが後白河法皇へクーデターを企てた平清盛によって、法皇の側近であった業房は惨殺されてしまう。夫の復讐を誓った日名は名を丹後局・高階栄子と改め、後白河法皇の後宮へと乗り込んでいく…。※朝日新聞社社刊行のコミックスを分冊しております。
大正から戦後にかけての激動の時代を、自分の信念を曲げずにたくましく生き抜いた二人の女性を描いた感動の大河ドラマ。大正8年、東北の没落旧家の気高き末娘の南部咲久子(なんぶ・さくこ)と貧しい農家の賢い娘・石上卯乃(いしがみ・うの)。性格はまったく異なるが固い絆で結ばれた咲久子と卯乃は、紡績工場の女子工員になると決意して東京へ向かう。しかしそんな二人を待ち受ける運命とは……!?
市川ジュンの代表作「陽の末裔」のキャラクターや彼らと関わる人々を主人公に、明治・大正・昭和の洋食にまつわるエピソードをハートフルに描いた人情グルメ浪漫。一目惚れした見合い相手・竜平(りゅうへい)と結婚した愛子(あいこ)は、素敵な台所を用意してくれた竜平のために、苦手だった料理作りを懸命に努力する。しかし実家の母に教わった料理も、義母に習ったお袋の味も、竜平に気に入ってもらえなかった愛子は……!?