大好きです。バイブルです。ありがとうございます。絵力が凄すぎるよ…
原作がカードゲームらしいのが多少ハードルですが、デフォルト的なRPG世界の先入観で読んで困ることはなかったです。 ふとした始まりから世界の存亡にまで関わる一つの冒険を画力をはじめ完成度が高く、古き良き90年代のノリで描き切った作品という印象。 エピローグであらましを示された主人公(後世から偉大な召喚士とされる)の他冒険も気になりました。
相当にマイナーな題材なのに小難しさがなく説明もスッと入って来て読みやすかったです。個性あるキャラクター達による駆け引き、バトルついには合戦を織り交ぜながら6巻を一気に読了しました(余韻がまた素晴らしい)。伊藤勢作品の中でも最も薦めやすい作品であり、個人的には現時点での最高傑作だと思っています。
中国史に詳しい方なら王玄策という人物をご存知なのでしょうか。 一行でまとめるなら彼は「出先のインドで投獄されたから脱獄して内戦に介入し、解決に導いた一介の外交官」といえます。「そんなマンガみたいなやつがマジでいたのか?」と思って読むわけですが、どうやら居たようです。完全に居た。『天竺熱風録』を読めば分かる。 より興味を持っていただくためにもう少し王玄策のことを紹介しましょう。 7世紀・唐の時代、玄奘三蔵法師とほぼ同時代の人物だといったらわかりやすいはず。王玄策も三蔵法師と同じく、天竺(インド)の地を踏んだ人物です。もっとも彼は僧侶ではなく修好使節団のリーダー、すなわち外交官でした。 本作で描かれるのは王玄策の二度目の天竺行で、これがなんとも波乱に満ちた旅となります。 やっと辿り着いたインドは交流のあったハルシャ王が死去しており、得体のしれない集団が王権を握っている状態。玄策は簒奪王アルジュナに仲間を殺されたうえ、使節団まるごと投獄されてしまいます。 極限状況で彼が導き出したプランは、 ①脱獄して隣国ネパールに向かう ②ネパール王に助力嘆願して兵力を借りる ③友軍とともに天竺の首都カナウジに舞い戻る ④アルジュナをボコる ⑤仲間を救う。HAPPY!! という大胆不敵なものでした。詳しく書くほどに「マンガか?」となるわけですがどうやら歴史上の人物らしい。 彼がどう決断し、次に何を見せてくれるのか「一体どうしてこんなことが出来ちゃったんだ?」と結果がわかっていても常にワクワクドキドキです。伊藤勢先生が「外交山師」と評するとおり、武力に頼るのは必要最小限、血を流さず知恵によって状況を打開しようとするスタンスも魅力的なんですよね。 そして賢い彼を取り巻くキャラクターも全員キレ者揃いでとにかく話が早い。頭のいいキャラクター同士が会話しているときの気持ちよさがずっと続きます。 特にネパール軍のラトナ将軍が超イカす!気がつけば彼女の麾下の兵士と声を揃えて将軍を全力で推していることでしょう。 当時の軍事状況や地政学的な知識に裏付けされた描写も圧巻で「7世紀のインドってこんな雰囲気だったんだろうな」という説得力が半端じゃありません。インドを旅したこともあるという伊藤先生のあとがきは本編を読み解くうえで最高のコラムです。 一方でマンガ的なケレン味もバッチリ備わっていて、具体的には怒りのデスロードを爆走しているかのような象戦車とかが出てきます。歴史の知識がしっかりあるから遊び心も映えるんだなぁ。 「原作を読んだときにぱっと絵が浮かんだ」と語られるラストカット、これがまた最高にシビれるのでぜひ最後まで読んでいただきたい次第…インドの風を感じながら、ロマンあふれる男の生き様をド級のエンターテインメントとともに味わえる快作です。
伊藤勢作品を追いかけているなかで読みました。このマンガ版は『闇狩り師』シリーズ本編の10年前、若かりし頃の九十九乱蔵の活躍を描きます。 異国の地で強大な力を持った怪物を追い、その身一つで大立ち回り!ド派手なアクションと緻密な舞台描写はまるで豪華なハリウッド映画を見ているかのようなワクワク感があります。 自分は原作シリーズいずれも未読の状態でしたがとっても楽しめました。キャラクターのその後も気になって原作もポチッてしまったので、シリーズ入門にもピッタリなんじゃないでしょうか。パワフルな退魔ものです!
『瀧夜叉姫 陰陽師絵草子』を読んで居ても立っても居られなくなりこちらの『賀茂保憲』も読みました。読んでみてびっくり全然雰囲気が違う!けどめちゃめちゃ面白い!! 登場人物は安倍晴明、賀茂保憲ら平安時代の大御所メンバー。『瀧夜叉姫』とも共通しますが世界線は別物で独立しています。 『瀧夜叉姫』は本格派のダークファンタジーという感じでしたが、本作はもう少しコメディチック。玉藻の前が疫之狐狗窼(えきのこっくす)に感染して大変なことになったり明らかゴーストライダーの牛車を乗り回したり、ネタの方向性が秀逸。私のイチオシはモスラ回です。 悪ノリしながらも当時の文化事情をしっかり描いて陰陽道をカッコよくやりつつ物語が盛り上がっていくのが心地いいです。 固すぎもせず、ヌルくもないこのバランスが絶妙で「平安時代、マジで楽しそ〜〜〜!」っていう気持ちになります。(こっちの路線の『瀧夜叉姫』も見てみたかったかも…)
これはすごい…。あやしくもきらびやかな平安の空気感を醸す精緻な設定に、一癖も二癖もあるキャラクターたちの洒脱な掛け合い。そして読後に全コマもう一度見返したくなるようなエネルギーに満ちた画面! 自分は夢枕獏作品にも平安時代にもとんと疎いのですが、本作に触れ「こんなにも心躍る世界があったとは!」とさっそく沼にハマりそうです。 近頃とある英霊バトルゲームなんかでも平安時代がフォーカスされたりして、本作に出てくるような登場人物の名前も見かける機会が増えてきた次第。 スカした態度の安倍晴明に存在そのものがヤバそうな蘆屋道満(でもめちゃめちゃカッコイイ)、そして最強の格が溢れんばかりの俵藤太!! 名だたるスーパースターたちが本作でも危険な魅力を爆発させていて、歴史をふんわりとしか知らない自分も心を鷲掴みにされてしまいました。 安倍晴明と源博雅がさまざまな怪事件の調査に乗り出すまでが1巻で、本格始動はこれからというのにも関わらず読み応えがすごいです。ゴリゴリの陰陽バトルが始まってしまったら一体どうなってしまうんだ…。もう続きが楽しみでしょうがないです。
大好きです。バイブルです。ありがとうございます。絵力が凄すぎるよ…