※ネタバレを含むクチコミです。
ひーくん(恋人)は100年に一人の天才ロッカー! 将来は絶対に武道館を満員にする! いまは、ひーくんを支えるために私が稼がなきゃ! ・・ごめんね、ひーくん。 アナタのために私は悪魔に魂を売るわ。 アナタが「日本の音楽シーンを支配する悪魔だ」という その悪魔(アイドル)に今だけバイトでなるわ! 「ぐりこカミングスーン」は 間違いなくバカップルのカン違いコメディ物語なんだけれど、 才能があるのに気がつかないで苦労をしているという、 ある意味で贅沢なバカップルのお話だ。 「無能なこと、無意味なことに気がつけよ!」ではなく 「有能なこと、才能を無駄遣いしていることに気がつけよ!」 とツッコミたくなる物語だ。 なぜそこで、そうカン違いする! と思いつつ読んでいたのだが、 読んでいるうちに「アレ?」と思う部分が ダンダンと増えてくる。 カン違いロッカーのひーくん。 カン違いアイドルのぐり子。 ロックやアイドルそれそれを崇拝するファン。 スカウトマンやマネージャー、プロデューサーなど業界人。 それらの日本の音楽シーンの全部に対して、 「お前らみんなカン違いしてるよ」と ディスって笑いにしているような漫画だと思って読んでいったが、 実はそう思った自分こそカン違いをしていたのでは?と ジワジワと思わせてくる漫画だった。 ピザ屋でバイトした後に 「あの大空にピッツアをひろげ~」 と唄う、ひーくん。 それを見て 「ひーくん、かっこいいかも・・」 と思ってしまった。 それこそカン違いかもしれないけれども。
生きている間は画家として全く評価されなかったゴッホ。 やはり現世で認められたい、と天国を脱走し現代日本に転生。 しかし単なる贋作作家もしくはイタイ人くらいにしか、 評価されず、悩むゴッホの前に先輩脱走者のピカソが現れ 現代日本のアートスクール・美術大学へ案内する。 美術大学の漫画学科へ、と。 画家特有の変わった性格のゴッホやピカソが 漫画家という画家としてはエンタメに特化した 特殊な存在になろうとするのだから、当然、 色々と誤解したりされたりしながらの美大生活となる。 一枚で数億円の絵を描く男が4コマ漫画に挑戦し、 週に十数枚描く漫画家の能力に驚愕する。 漫画家も立派な画家だ!とゴッホは漫画家を目指すが、 立派な画家とか漫画家とか、絵画とか漫画とか、 何をどう評価するのが正しいのか混乱してしまって、 その混乱の間から笑いが滲み出てくるような漫画。
雑学とか豆知識みたいな記事でときどき 「ドーナツはなぜ真ん中に穴があいているのか?」 みたいな記事を目にすることがある。 なるほどね、と思うことが書いてあることもあれば、 え、そんだけ、だからなんだというの、みたいな記事もある。 なかには 「いや、ドーナツって全てが穴あきじゃないんですよ」 とか、勝手にノリツッコミをして終わっている記事も。 こうなるとドーナツが穴あきの理由なんぞ 「どうでもいい」 「深い意味ナイだろ」 「面白そうだからあけただけだろ」 としか思えなくなる。 「ドーナツ父さん」という題名は恐らくは ドーナツ=真ん中に穴=中身がない、 ということにかけた感じで、 中身の無いダメ人間の父さん、を表現したのかと思う。 無職で昼間から酒を飲んだり、パチンコしたり、 おそらく妻はいて、ヒモ的に生活をしているだろう父さん。 息子の誠司(4歳)はなぜか上半身半裸。 結構、不憫な扱いを受けていると思うが、 特に悲嘆にくれたりグレることもなく、 健気というのともちょっと違う気もするが そこそこ明るく生きている。 しっかりと父さんにツッコミを入れたり、 気遣ってツッコミを入れなかったり、 包丁で切りつけたり、辞書の角で殴って 流血させたりしながら。 パターンとしては、 誠司の素朴な疑問に父さんが、 深い意味がありそうでホントに中身の無い解説をし始め、 それが意外な方向に進み出してギャグになっていって、 みたいな展開が多い。 爆笑もの、というよりは、おいおいそうなるのか、みたいに ジワッと来る感じの面白さ。 一見すると、もしかして深イイ話かも、とか よく考えると哲学的な意味合いがある、とか、 考えてしまいそうにならないこともないかもしれないが、 実のところ、そんなことは絶対にない・・と思う。 ドーナツの穴のごとく、 「どーでもいいけれど穴があいていたらなんか面白い」 という感じの、それだけだけれど間違いなく面白いマンガだ。
笑うの我慢してる女の子はかわいいい!! 交通事故で瀕死のときに悪魔と契約した女の子が今後一生、笑ったら身の回りの人に不幸が訪れるという話。 笑ってはいけない状況こそおかしくなってくるのは年末にやってる「笑ってはいけない~~」でもご存知かと。 可愛い女の子が笑い堪えてて、笑うまいとツンとして、ときめいてニヤけちゃいそうになってラブコメしてるの最高にかわいい! https://comic-days.com/episode/10834108156697555194 作者の赤堀君先生は『ドーナツ父さん』『ぐりこカミングスーン』『ガカバッカ』と登場人物が少しずれててシュールめギャグテイストな設定で描かれてたことが多かったのですが、今作で「絶対に笑ってはいけない」という方向性がついたことで、笑いの伸びしろがグッと伸びたように感じた。なんでもありよりも制限がついたほうが面白いことがある。 笑ってしまったら父がハゲることから始まり、周囲の人物に様々な災いがふりかかっていた。 笑うことを避けるために逆説的に笑いを研究するというのも逆に笑いを呼び込んでる感もいいし、大きな目でツリ目がちにキリッとしてるのめちゃくちゃかわいい。 主人公がいる場所にはいつも悪魔がついてきてるのもかわいい。 災いの種類が地味に嫌でめちゃくちゃ大きな不幸ってほどじゃないのもかわいい。 ほんとに素晴らしくいやらしくなくかわいさに溢れている漫画だと思う。 名前も草原ニコって!草生えまくりじゃないですか!「w」いいなあ。 それにしても、笑っちゃいけないっていうのにこの子の笑顔を見たくなってしまう・・! 最近、漫画家さんが単行本発売時によくやるツイッターに1話目載せる手法やったらめちゃくちゃバズりそうな気がする! たくさんの人に読んでほしいなあ。
【掲載誌】 モーニング2017年48号(2017年10月26日発売)より連載開始 【代表作】 『ドーナツ父さん』 【受賞歴】 『お父さんは○○』(赤堀隆史 名義) 第62回 ちばてつや賞 奨励賞 【公式ページなど】 モアイ http://morning.moae.jp/lineup/875 Twitter https://twitter.com/pon_kan_tii
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