入谷友紀の自慢の店『水華茶荘』は中国茶専門のカフェだ。客足は少ないけれど、好きなものばかりを揃えた店は居心地がいい。ある雨の日、客もいない店でお気に入りの中国茶を淹れたところにひとりの客が訪れた。精悍な顔立ちのスーツを着た青年、長谷部だ。どうやら長谷部は入谷のことを知っているようで……それから、雨の日になると現れる長谷部と親しくなるうちに、入谷は自分の気持ちが友情ではないことに気付きはじめて──恋に臆病なふたりの不器用な恋の物語。
いつものように仕事から帰った野瀬光輝を出迎えたのは八年間も音信不通だった岩森実だ。なんでおまえがここに。岩森は、大学時代、何気なく交わした約束を果たしに野瀬の部屋に転がり込んできたのだ! 呆然とする野瀬とは反対に、ハイテンションではしゃぐ岩森。ワンルームの部屋に男ふたりでの生活なんて冗談じゃないと思いながら、野瀬は岩森のいる生活を受け入れている自分に気付き──?