帯にも書いてありましたがデビュー作である『ぱだんぱだん』が読めるのがセールスポイントなのかな。9pしかないのに危険な女とそれに惹かれる男、という世界観が完成していてすごいです。 個人的に一番好きだったのは表題作の「人魚變生」(「へんしょう」と読む)。船医の男が船上で人魚を捕まえた話をバーで怪しげな人物(女とも男ともわからないところが素敵!)に語るところから始まるのですが、白黒でバチッと、それでいて艶かしくやわらかな絵作りに一気に引き込まれてしまいました。人魚の美しさ、読んでくれとしか言えない。 繊細な画面がずっと味わえる素晴らしい読書体験でした。
20年ぶりくらいに読みましたが、山田先生の絵の巧さを改めて確認しました。 作中、トーンを使っている所は数えられる程度で、白と黒で描かれた端正な絵に目を奪われます。 物語は、「ロードス島戦記」(英雄戦争)の30年前、呪われし島に魔神が顕在し破滅寸前に陥ったロードス島を英雄達が救った物語です。 原作となった「ロードス島伝説」やパーン達が登場する「ロードス島戦記」の物語を知らないと、恐らく理解するのは厳しいだろうとも思いますが、日本を代表するファンタジーのコミカライズであり、剣と魔法で紡がれる物語が好きな方は一読の価値があると思います。
山田章博作品、本作しか読んだことがないのですが、まずもって硬質で精緻なペン運びが見事です。(改めて見返すと、イタリアのマンガ家セルジオ・トッピっぽい妖艶さがありますね) 絵の魅力はもちろんのこと、セリフ回しやキャラクターの造形も洒脱! アーティスティックなだけでなく、ちゃんとキャラ芝居のカワイさも同居しているのが達人技です。 話の筋も「イケメン小悪魔がマッドサイエンティストと美少女チャイナ娘にこき使われて不思議な事件に巻き込まれる」というキャッチーな作りでとっつきやすい。 と思えばディティールの凝りもすごい(ソロモンの魔術書のくだりとか)ので、読み応えがあります。 もっとこの3人の物語が見たい…と思わずにはいられない快作です!
帯にも書いてありましたがデビュー作である『ぱだんぱだん』が読めるのがセールスポイントなのかな。9pしかないのに危険な女とそれに惹かれる男、という世界観が完成していてすごいです。 個人的に一番好きだったのは表題作の「人魚變生」(「へんしょう」と読む)。船医の男が船上で人魚を捕まえた話をバーで怪しげな人物(女とも男ともわからないところが素敵!)に語るところから始まるのですが、白黒でバチッと、それでいて艶かしくやわらかな絵作りに一気に引き込まれてしまいました。人魚の美しさ、読んでくれとしか言えない。 繊細な画面がずっと味わえる素晴らしい読書体験でした。