※ネタバレを含むクチコミです。
という言い方をすると、生まれなければよかったのか、生まれてよかったのか、どっちなんだという話ですが…漫画好きとしては読みたいと思える漫画が多いに越したことはない… ショート・ショートの詰め合わせという感じで、短期集中連載とのことですが、共通しているのはコロナ禍の世界だということ。創作もあれば、会期が延期してしまった著者が参加する展覧会のドキュメント(っぽい)話もあり。 そりゃあ、電車がガラガラだったら流星課長の出番も無しだわな。 しりあがり寿が描くコロナウイルスが思いの外かわいい。
まず、絵柄で好き嫌いがあるかと思います。私も始めは苦手な絵だなと思って読んでいたのですが、世界観が幻想的で不可思議なギャグに笑いつつ、心動かされ、ハマっていきました。作品世界にどっぷりつかれて濃密な体験ができる漫画です。
しりあがり寿、と言えばシュールなギャグが持ち味。しかしこの作品はシュールはシュールですが、意図したギャグは一切なし。水の中に全てのもやもやしたことをぶち込んで世界は終わるのだ、といわんばかりの哲学的な終末を淡々と描き切っています。発端はやまない雨。歯みがき会社の方舟による世界一周キャンペーンが大ヒットする中、人々の生活は少しずつ壊れ始めます。この雨、というファクターは、物語を語る上で非常に重要なパーツ。群集心理によって起こる暴動の喧騒は雨音にかき消され、死体は雨に流され、たまった水に世の中の雑多な物は沈んでいく。そして残るは島影ひとつ見えない大海原。作品に”静かな”というイメージを与えるのにこれほど効果的な使い方はないと思います。この作品が描かれたのは西暦2000年。いわゆる世紀末。あとがきには著者による「輝ける未来」が創造できなくなった趣旨のコメントがあります。それから10年経ちましたが、この世界よりも、もっと閉塞感のある氷の時代になってしまったように感じるのは気のせいでしょうか。
京王線の満員電車で繰り広げられる電車内席取りバトルに勝ち必ず座って帰る男「流星課長」 必ず座って帰るのはいいんだけど、なぜかロシアの体操選手「アンドレイ・イツデモ・スワルコフ」やら、通勤ロボ、総理大臣の強敵が出てくる。 内容は席取りバトルけど、絵がカッコいいし、通勤電車に乗る人間としてすごい楽しめる。 実写もあった https://www.youtube.com/watch?v=wq4-Im3jIzw
もう5年経つがやはりこれはマンガ家の仕事としてすごいんじゃないか
※ネタバレを含むクチコミです。