色彩でも表される、全体に流れる不穏な雰囲気。 主人公のひとりであるビーは未熟な子どもとして描かれるが、そのへそ曲げ描写が長くてちょっと辛かった。 後半のファンタジックな展開にもいまいち乗り切れず。 ただ、こういう「女2人組のロードムービー」「偶然交差するふたつの人生」「共に過ごした期間は短いが、この後の人生にもそれぞれ影響を及ぼしていく(であろう)関係性」はメチャクチャ好きだ。
舞台はテキサス。暗く強い色彩の中、家出少女が近所の車修理工の女性と出会い、長いドライブをする物語。鬱屈としていて、スリリングで、苦しみを共有しながら読むのを止められなかった。 旅の動機は、苦しみからの逃避。その苦しみはどうしようもない、切ない内容ばかり。だからなのか、二人は始終ツンケンしていて、道中も喧嘩ばかり。 一匹の猫が物語に変化を起こす。首輪にある不可思議な地名、なぜか追ってくる集団、崩れてゆく地形。異界に迷い込み、不気味さが増大してゆく。 その中で、喧嘩しながらも二人は対話し、少女に車の運転を教え、苦しみに繋がる秘密を共有する。そのことがとても大切に感じられる。二人はご近所さんなのだ。 ロングドライブの果て、二人が出会ったことに意味があったと感じられるラストを思い出すと、じんわりと胸熱くなる。
フィギュアスケートを惰性で続けている少女の物語。なまじ出来てしまうことに加えて、ある理由でフィギュアスケートに固執している主人公。やりたくはない、けれどもやめられない、という苛立ち・うんざり感……一冊を通じて、鬱々とした気持ちに支配される。 周囲が全てクソという認識。生きづらさ、世界に受け入れられない絶望感。解決策が無く、無力感を共有することになる。 しかし、ぐいぐいと読めてしまう。そこにある無力感は、過去の私も持っていたものに似ているから。 学校でも、リンクでも、うまくいかない主人公。彼女を支えるのは、それぞれの場所で彼女を受け入れる女性たち。おかげでぎりぎり立っていられる主人公に感情移入する。 過剰に女性の支えを求める理由の中には、彼女の同性愛もある(作中ではゲイと表現)。そこにはときめきがあるものの、決して受け入れられないだろうという諦めが彼女をいっそう荒ませるのが辛い。 幼少期から思春期にかけての迷走は歯痒いし、自分と照らし合わせるのも辛い部分がある。一方で心の奥底で同調し、その辛さがどう癒されるのかを追いたくもなる。 起こる出来事に一貫性が無く、突然なのがリアルに感じる。作者の自伝として、恐らく自分の感情に向き合って、歯を喰いしばって描いたのだろう生々しい描写に触れて、ひどく動揺している私がいた。
色彩でも表される、全体に流れる不穏な雰囲気。 主人公のひとりであるビーは未熟な子どもとして描かれるが、そのへそ曲げ描写が長くてちょっと辛かった。 後半のファンタジックな展開にもいまいち乗り切れず。 ただ、こういう「女2人組のロードムービー」「偶然交差するふたつの人生」「共に過ごした期間は短いが、この後の人生にもそれぞれ影響を及ぼしていく(であろう)関係性」はメチャクチャ好きだ。