かつて文庫で刊行され、数年前に復刊ドットコムで再刊された『わたしたちができるまで』という本がある。 岩館真理子、大島弓子、小椋冬美という3人の女性漫画家へのインタビューをメインに構成された好著だ。ちなみに、それぞれのインタビュアーが実に豪華なのですが、それは実際に買ったかたのお楽しみとしておきましょう。 要するに、小椋冬美は、かつてそういう存在だった。 大島や岩館と並ぶ、極めて大きな漫画家だったのだ。 今、この人の作品が語られることが少ないのは、あまりに惜しいと思うのです。 優れた女性漫画家は、詩的な言葉の操り手であることが多い。だが小椋冬美は、無言や間を描くことに長けていた。世界観が神経質ではなく、ゆったりと大きい。 これも少女マンガには珍しい独特のふくよかな描線と合わせ、今に至るまでなかなか比べる者のない、とても稀有な才能であると思う。 本書『天のテラス』は、女性誌メインで活躍してきた著者が男性誌のモーニングで発表した連作集である。そのため、男性が主人公の作品が多く、小椋冬美の「間」の豊かさを少女マンガの読者以外も味わいやすい逸品だと、自信を持ってお薦めいたします。 こういう優れた作家の漫画を読むと、本当に、80年代というのは「漫画の黄金時代」だったのだなあ…と嘆息してしまいます。 (『天テラ』自体は90年代初頭の作品です。念為)
想像以上の名作でした。 特に最終巻の後半はもう胸がジーンとなりすぎて本当に良かったです…😭 何にも対して本気になれない矢野くんと、 イギリス人のおばあちゃんの生き方が心の中で引っかかっていて、どこか一歩踏み出せない麻美。 でも麻美はおじいちゃんから人の支え方を学んで、矢野くんと一緒に殻を破っていく様が本当に良かったです。 そしてまた絵もお洒落でとっても80年代らしい…!! 『ごめんねダーリン』でもそうでしたが、小椋先生の作品に出てくる大人たちの言葉が何より素敵です。 最後まで読んで初めてタイトルの意図も分かりました。 何かに夢中になりたい人に是非読んでほしいです。
かつて文庫で刊行され、数年前に復刊ドットコムで再刊された『わたしたちができるまで』という本がある。 岩館真理子、大島弓子、小椋冬美という3人の女性漫画家へのインタビューをメインに構成された好著だ。ちなみに、それぞれのインタビュアーが実に豪華なのですが、それは実際に買ったかたのお楽しみとしておきましょう。 要するに、小椋冬美は、かつてそういう存在だった。 大島や岩館と並ぶ、極めて大きな漫画家だったのだ。 今、この人の作品が語られることが少ないのは、あまりに惜しいと思うのです。 優れた女性漫画家は、詩的な言葉の操り手であることが多い。だが小椋冬美は、無言や間を描くことに長けていた。世界観が神経質ではなく、ゆったりと大きい。 これも少女マンガには珍しい独特のふくよかな描線と合わせ、今に至るまでなかなか比べる者のない、とても稀有な才能であると思う。 本書『天のテラス』は、女性誌メインで活躍してきた著者が男性誌のモーニングで発表した連作集である。そのため、男性が主人公の作品が多く、小椋冬美の「間」の豊かさを少女マンガの読者以外も味わいやすい逸品だと、自信を持ってお薦めいたします。 こういう優れた作家の漫画を読むと、本当に、80年代というのは「漫画の黄金時代」だったのだなあ…と嘆息してしまいます。 (『天テラ』自体は90年代初頭の作品です。念為)