先日発売された「艮(うしとら)」「ゆうれい談」よりも怖い話が多いですね。母親の執着から逃げられない娘の関係を描いた「メディア」は、娘が母親を嫌いになりきれないところがリアルだなと思いました。漫画家M先生のアシスタントさんの恐怖体験を描いた「押し入れ」は、起きたことを装飾なしに描かれてるので淡々としてるんですけど、山岸先生がポロッとおっしゃった言葉に一番ゾッとしました。それ絶対に当たってると思う…。
子供の頃に呼んだのですが、その時は 「厩戸皇子はきれいだなぁ」とか、BL漫画だ!くらいにしか思いませんでした。 しかし、歳を重ねて何度も読み返すうちに、 まず作者の歴史への明るさに関心しました。 史実に基づいている部分も多いので、結構勉強になります。 また、絵がとても綺麗で、 蘇我蝦夷の前でだけ子供っぽくふるまってしまう皇子の可愛らしさや、 身分や性別を超えて思い合う二人が美しく描かれていて、 美しい作品だなと思います。 BLが好きな人にも、そうでない人にもおすすめしたい作品です。
表題作の「艮」よりも「時計草」が怖かったです。主人公は近所の公園で目が覚めます。しかしどこか他へ行こうとしてもまた同じ公園に戻ってきてしまうのです。高校で数学を教わっていた藤原先生に出会ったことで大事なことに気づきますが、その前に出会った茶道教室の親切な三澤さんのくだりが印象的でした。そしてラストの展開は衝撃です!主人公の息苦しさが自分のことのように感じられました。日頃の行いを改めようと心に誓いました。
ホラー漫画というよりは山岸凉子先生の奇妙な体験談という感じ。ホラーというジャンルが確立された今となってはそんなに怖くないので身構えて読むと肩透かしですが、これを当時のりぼんに掲載するのはセンセーショナルなことだったんだろうと想像できます。恐怖体験談を募集したところ読者の少女達からダンボールいっぱい送られてきたけど怖くなったから捨てたというのには驚きましたが、山岸先生はそれがあることによって何かを呼び寄せてしまいそうな方ですからね…。「ゆうれい談」には漫画家がたくさん登場するのも見どころの一つで、本宮ひろ志夫妻や大島弓子先生も登場します。
先月から、山岸凉子さんの名作短編が復刊し電子書籍でも発売され始めました。『日出処の天子』や『アラベスク』などの代表作は一昨年から電子化されており、そちらも人生で一度は触れてみてほしいのですが、この夏の怪談シーズンに読むには『わたしの人形は良い人形』や『汐の声』といったホラーの方での代表作もまたうってつけでしょう。 そんな中で、8月10日に同時に刊行されたのは『白眼子』。こちらは、2000年に短期連載していた表題作「白眼子」と、1990年の短編「二日月」の2篇が収録されています。 『白眼子』は、戦後間もないころの北海道を舞台に、行き場を失った戦災孤児の少女が不思議な力を持つ盲目の男性の下で暮らし始める物語。行き場もなく、恵まれた容姿や能力も持たずに喘鳴しながら生きる主人公の閉塞感が強く伝わってきます。決して楽とは言えない環境でありながらも、少しずつ成長を重ね人生を歩み営んでいくさまに胸を打たれます。 一方で、物語の焦点が白眼子と呼ばれる男性の人の運命を観る力の方に当たっていくと、興味の方が強く立ち上ってきます。白眼子はただ単に「観る」だけのこともあれば、特別な行為を以てそれ以上の干渉を行うこともあります。その力がどういう性質のものなのかが解る瞬間は、なるほどと思わされ山岸凉子さんらしさも感じました。 「災難はどうしたって訪れる。大事なのは、それをどう受け止めるか」という件は、人生を生きるに当たって服膺したいところです。「白眼子」はホラー的な要素もありながらも、全体を通してみると上質なヒューマンドラマであり読後には暖かさがあります。2000年以降の山岸作品の中では特に好きです。 「二日月」の方は、不気味な転校生によって穏やかな日常が浸食されるサイコホラーです。仲の良い友達や気になる男の子という普通の少女マンガで見られる関係性の中に、じっとりと粘りつくように入り込んできて掻き乱してくる転校生。何とも言えない厭な感じの演出が、非常に巧みです。転校生がとあるゲームチェンジを果たしてからは、ますます追い込まれていく主人公。 『わたしの人形は良い人形』や『汐の声』のように直接的に怖がらせてくるお話ではないですが、いわゆる「人にしか出せない湿り気」のようなものを存分に感じさせてくれる一篇です。二日月の日になると思い出してしまう作品ですね。 この機会に、他の名作たちと併せて読んでみてはいかがでしょうか。 余談ですが、少し前に北海道に訪れたときに狸小路を訪れていたのですが「白眼子」の舞台になっていたことに改めて読んで気付かされました。知らず知らずのうちに聖地巡礼をしていたようです。これが、『わたしの人形は良い人形』や『汐の声』の舞台であったら夜眠れなくなっていたと思うので、「白眼子」の舞台で良かったです。
某漫画家がこの作品に触発されて自分も聖徳太子の話を描いたと聞いたことがありますが、才能ある漫画家に嫉妬される程の作品ってすごいですよね!私のような凡人はただ圧倒されるばかりで「もっと日本史を勉強しとけばよかった…」と後悔しました(笑) しかも山岸凉子先生はこの作品をほとんど資料なしで描き始めたと語られているから驚きです。オリジナリティ溢れた大胆な解釈で描かれた作品ですが、栄華を極めた聖徳太子がすぐに衰退したのはそういう理由があったのかとスッと飲み込めました。もし毛人が厩戸王子の誘いを断らなければ歴史は変わっていたのかもしれないですね!
キエフの少女 ノンナ・ペトロワがバレリーナになることを目指し運命を切り開いていく。 巻数的には少ないですが、内容がぎゅっと詰まっていて涙なしには読めない作品です。 昔読んた時は、ロシア周辺の地域の位置関係はよくわかってなかったのでこちらを読んで把握したこと覚えています。 今は戦争をしている二国間の関係が良くなり、それぞれがまた活躍できる世界になってほしいです。
蘇我蝦夷と聖徳太子 二人をを取り巻く宗教と権力の大きな渦。 時代的に男性社会だから、どうしてもBL的な要素は入ってきますが、不快ではなくむしろいい。 山岸さん独自のストーリー展開いいですし、絵も芸術的で、発刊から何十年たっても素晴らしいです。 難点は日本の歴史物語だと苗字が一緒で読みづらくみんなの名前がみんな同じに見えてしまうこと。
飛鳥時代と聞くと、お勉強なイメージがありますが、それを覆してくれるのがこの作品です・作者が梅原猛の著作「隠された十字架」による聖徳太子の闇にまつわる諸説に影響を受けた本作は、歴史ロマン、人間ドラマそしてBLをこれでもかと楽しいを詰め込んだ大傑作!
この作品は主人公の夢(バレエ)・恋・悩み等山岸涼子バレエ作品の鉄板を押さえつつも「テーマが全然違うところにある」と感じました 主人公の悩みはバレエの舞台でここぞ!という時に失敗をしてしまうという自分の性質 その自分の癖を克服するため、自己流の"ある事"をはじめます その"ある事"から彼女の心はどんどん… 最終的に彼女の中に溜まった想い"言霊"たちは… なんというか…読み終えた後 「そ…そうだったんだ!!!」 と生きていく上でとても大切な真理のようなものに気づきます 教科書や授業より絶対この方が伝わりやすいし 漫画ってやっぱり凄いな〜!と思いました。 世の中にこの作品の主人公のような考え方浸透したら もっとSNSやネットの社会も みんなが良くなるような気がする…等と読み返してしみじみしました。 (クチコミを投稿始めてまだ日が浅いですが必ず山岸涼子先生の作品を 推そうと思ってました)
先日発売された「艮(うしとら)」「ゆうれい談」よりも怖い話が多いですね。母親の執着から逃げられない娘の関係を描いた「メディア」は、娘が母親を嫌いになりきれないところがリアルだなと思いました。漫画家M先生のアシスタントさんの恐怖体験を描いた「押し入れ」は、起きたことを装飾なしに描かれてるので淡々としてるんですけど、山岸先生がポロッとおっしゃった言葉に一番ゾッとしました。それ絶対に当たってると思う…。