連載時から読んでいて単行本を心待ちにしてました。タイミングを逃して最終話だけ読んでなくて、単行本で無事に最後までしっかり見届けられました。 物語のメインは「あかり」という女性とステンドグラス作家の篝が出会ってからの話ですが、あかりや篝(と息子)の過去の話がとくに印象的です。ステンドグラスですから多くの色が話の中にも出てきます。白黒の紙面からどんな色だろう、きっとこんな感じかな、とイメージするのが楽しいです。終盤にあるフルカラーの見開きで表現している場面では、今まで自分の頭に思い浮かべていたものが目の前に現れたような気持ちになり感激でした。 余談ですが白にもいろんな色がある、というところで某「白って200色あんねん」が脳裏をよぎってしまったことは紛れもない事実である。
ステンドグラス職人のおじいさんは最愛の妻を亡くしたショックでスランプになっていた。疎遠になっている一人息子は葬式にも来ず、孤独によって卑屈になってしまったおじいさんはこのまま職人を辞めようとしたところに…息子が離婚してから会っていなかった孫娘のあかりが訪ねてくる。ステンドグラスに興味を持った孫娘との交流によって元気になっていくおじいさんだったが、実はあかりには秘密があって…というお話。あかりの秘密がなかなかの衝撃だったのでハラハラしましたが、結末はステンドグラスの灯りみたいに優しくてホッとするものでした。 ステンドグラスを通した光の描写が美しくて本当に感動しました。いつもと使われている画材も違うような気がしてこだわりを感じました。後書きによると小日向まるこさんのおじいさんが実際にステンドグラス職人だったそうで、セリフやストーリー以外でもそういうところに想いが込められているのかもしれません。
『ぼくの忘れ物』、『アルティストは花を踏まない』の小日向まるこさんの新作。本作は、桜井美奈さんの小説をコミカライズしたものとなっています。 原作は未読なのですが、女子刑務所内で受刑者が美容師を務める美容室という題材の非日常感で興味深く読めました。受刑者との雑談は禁止であるためお客さんは横につく刑務官としか話してはいけない(でもそれは受刑者を守るためでもある)、900円という料金の安さなどなど初めて知ることが多々ありました。 ただ、何と言ってもこの作品の魅力は人間の繊細な心の機微です。これまでの作品でもそうでしたが、小日向まるこさんは写実的でありながら優しい絵柄があいまって心の奥深くにまで沁みる空気感を醸成してくれます。 本作も、悲しい瞳が印象的な受刑者で美容師の葉留(はる)から発される嫋やかな言葉が、雑多な日々にささくれた心を穏やかに慰撫してくれるようです。 また、刑務官の菅井さんや78歳のお客さん・鈴木さんなど、歳を重ねた登場人物たちのエピソードは絶妙で巧いです。とりわけ、鈴木さんのお話では「生きる」ということそのものを感じさせられ、今後高齢化がますます進行する社会にあって大切なものを描いていると思いました。読む人の年齢によってさまざまな心情を寄せながら読める作品でしょう。 残念なことに短期集中連載のため全1巻なのですが、もっとずっと読んでいたい魅力に溢れていました。 幸いにもTwitterでご本人による1話試し読みが広く拡散され、多くの人が知るところとなりましたが、SNSなど使ったことのないような方、普段マンガを読まないであろう方にもお薦めしたい、優れた作品です。
※ネタバレを含むクチコミです。
表紙買いです。 すごく素敵な色合いと絵柄だったので読んでみました。 画材は鉛筆…?優しい絵柄とタッチでギャップがすごい 受刑者で美容師、いいですね…。 刑務所ってだけで見てくれも中身も同じ人間なのに身構えてしまう気持ちはわかります。 髪はその人の生きてきた長さでもあるしその分いろんな人生を過ごしてきてもいるので切る方も切られる方も考えることが多いんだな、と! うーん…興味深い一冊でした。
受刑者の髪を切るために外から美容師が派遣される話かと思ったが、全くの逆で、服役中に美容師免許を取得した受刑者が、一般人向けに美容室を開いているということだった。 もしかしたら世間的には知られているのかもしれないけれど、自分は全く知らなかったので実在しているということに正直驚いた。取材のためとはいえ、首にタオルを巻かれるときにビクッとしてしまうのは当然の反応だと思いました。ただ俄然興味は津々です。行ってみたい。 1話目は週刊誌記者の女性目線の話でしたが、2話以降は服役中の美容師、小松原さんにフォーカスを当てるようです。
第一次大戦後のフランスを舞台に、重くるしい情勢の中でも、逞しく生きていく人々の物語。セリフで多くを語らないタイプの作品ではるが、それでもちゃんと伝わってくるものがあって素晴らしい。どうしても単純に「良いお話」として読むことが難しいのは、次の大戦が控えていることを歴史として私達が知っているからに他ならない。子どもたちの明るい笑顔をもってしても、戦争の虚しさや悲しさから目を逸らすことはできないのだ…。 ちなみに、読み切り版がWeb公開されているのでこちらもおすすめ。(ビッグコミック2017.vol7に掲載) http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/news/marco-artiste-preview/
1話を読んでみた。とてもあたたかいお話だった。 ランドセルというテーマでフルカラーの強みを活かしていて良さある。 元はモノクロだったものをカラーにした漫画は、色がきつかったり想像とずれていたりして馴染めないけれど、これは淡い色使いだし先入観もないしで読みやすい。 買ってみるか。 http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/news/marco-wasuremono-ebook-preview/
連載時から読んでいて単行本を心待ちにしてました。タイミングを逃して最終話だけ読んでなくて、単行本で無事に最後までしっかり見届けられました。 物語のメインは「あかり」という女性とステンドグラス作家の篝が出会ってからの話ですが、あかりや篝(と息子)の過去の話がとくに印象的です。ステンドグラスですから多くの色が話の中にも出てきます。白黒の紙面からどんな色だろう、きっとこんな感じかな、とイメージするのが楽しいです。終盤にあるフルカラーの見開きで表現している場面では、今まで自分の頭に思い浮かべていたものが目の前に現れたような気持ちになり感激でした。 余談ですが白にもいろんな色がある、というところで某「白って200色あんねん」が脳裏をよぎってしまったことは紛れもない事実である。