負けヒロインっていいですよね。 リアルでは、恋愛ごとにおいては負ける(惨敗か不戦敗)が多いので、恋愛漫画で主人公が成就されても共感できず、むしろ当て馬とか報われないキャラに同情してしまうタイプ。 本作もそういう読者を主人公にみたてた感じで、冒頭で幼なじみにフラれた負けヒロインこと八奈見杏菜と交流していく流れ。 幼なじみキャラは、典型的な負けフラグですからね。 想い人である幼なじみが恋人とよろしくやっている様を歯噛みしながら、失恋をひきずっていく様を主人公は客観的にみていく。 そんな話。 さらに話数を重ねていくと、別の負けヒロインたちが出てくる。 脳筋っぽいヒロイン、ちょろいヒロイン、などなど、いかにも最初から負け確してそうなヒロインたちで、読んでいてざわつきます。 負けるとわかっていても、つらいもんです。 フラれたからって想いが断ち切れるわけではないのだから。 そんな不憫なヒロインたちを描いた一風変わったラブコメですが、笑いありっちょっと涙ありの、自分好みな作品でした。
まさにアニメを切り出して漫画にでもしたような高クオリティの作画で、作監でもつけてんのかってくらい異様に安定しています。表紙もアニメ塗りでなんかキービジュアルみたいです。あるいはラノベの表紙。10年前のアニメ好きな人が好きそうな絵柄ですよね、とらドラ!とか、ゼロ使とか、かんなぎとか。私も好きです。 この「可愛さが高い水準で安定している」というのが非常に素晴らしいのです。音楽に無理やり例えるなら、音圧が高くRMS値が高い状態です(音圧競争には賛否ありますがダンスミュージックなどでは大事な要素です)。私は以後これを『可愛さの音圧が高い』と呼び表したいと思います。 話は一話完結式で、落語みたいに丁寧で笑える話や人情系の話が多いですね。そして1巻の一話くらいの割合でたまにあるラブ濃度の高い話数はかなり尊みが深く、美麗な絵ばかりに目がいきがちですがラブコメとしてもかなり質が高いです。 作品内で頻繁に使われる「カメラを固定したまま時間の経過を数コマに渡って描く」やつ、ARIAやよつばとを読んだとき初めて「こんな素敵な技法が!」と感動したのですが、めちゃめちゃ上手くないとできないやつですよねこれ。他にも視覚的に飽きさせないカメラワークやつけPANみたいな動き(1巻で宇佐美さんが泣く前のページ)とか、映像的な演出が各所に盛り込まれています。 一方でコマをぶち抜いた立ち絵(さよなら絶望先生でよく見るやつ)とか可愛い描き文字など漫画的な表現もしっかりしていて、よくあるイラストだけ上手い人とは一線を画します。 基本的にマンガは話の面白さと同じかそれ以上に絵のうまさと完成度が大事だと考えているので、そういう意味で文句のつけどころがほとんどないなと感じました。欲をいえば、シリアス展開とか恋敵とか、好みが別れるような刺激的な展開があったほうがより私好みではあるんですが(笑)
負けヒロインっていいですよね。 リアルでは、恋愛ごとにおいては負ける(惨敗か不戦敗)が多いので、恋愛漫画で主人公が成就されても共感できず、むしろ当て馬とか報われないキャラに同情してしまうタイプ。 本作もそういう読者を主人公にみたてた感じで、冒頭で幼なじみにフラれた負けヒロインこと八奈見杏菜と交流していく流れ。 幼なじみキャラは、典型的な負けフラグですからね。 想い人である幼なじみが恋人とよろしくやっている様を歯噛みしながら、失恋をひきずっていく様を主人公は客観的にみていく。 そんな話。 さらに話数を重ねていくと、別の負けヒロインたちが出てくる。 脳筋っぽいヒロイン、ちょろいヒロイン、などなど、いかにも最初から負け確してそうなヒロインたちで、読んでいてざわつきます。 負けるとわかっていても、つらいもんです。 フラれたからって想いが断ち切れるわけではないのだから。 そんな不憫なヒロインたちを描いた一風変わったラブコメですが、笑いありっちょっと涙ありの、自分好みな作品でした。